三菱ケミHD、再生医療に参入 20年度事業化めざす
三菱ケミカルホールディングスが再生医療事業に参入する。子会社の生命科学インスティテュート(LSII)が14日、再生医療関連ベンチャー、Clio(秋田市)の全株式を取得し、連結子会社にすると発表した。Clio社が持つ技術を使った臨床試験を2016年度にも始め、早ければ20年度にも事業化したい考え。三菱ケミカルHDは再生医療を長期的な成長分野と位置づけ、開発投資を加速させる。
買収額は20億~30億円程度とみられる。Clioは東北大学の研究チームが発見した幹細胞に関する独占的な使用権を持っている。この幹細胞はもともと生体内にあるうえ、様々な組織に分化する能力が高いという。LSIIは心筋梗塞や肝硬変など、損傷した組織を修復する効果を期待している。
14日午後に記者会見したLSIIの木曽誠一社長はClio買収の狙いについて「成長する可能性がある」と説明。iPS細胞などとは違う幹細胞を使い、再生医療分野での存在感を高める考えだ。臨床研究に向けた資金を積極的に投下し、16年度に臨床試験を開始。20年度に製品販売を始め、25年度に100億円程度の売上高を目指す。海外展開も視野に入れる。
三菱ケミカルHDは「医療・ヘルスケア」事業を手掛ける会社として、14年4月にLSIIを設立した。LSIIは創薬支援や診断薬、医薬用カプセルなどを手掛けており、14年度の売上高は1293億円。再生医療を「次世代医療」の中核事業と位置づけ、参入に意欲を示していた。
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