快走USJ、入園満杯が間近に 15年度1400万人に迫る
テーマパークのユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ、大阪市)が快走している。運営会社のユー・エス・ジェイは14日、2015年度の入園者数が1400万人近くに達するとの見通しを明らかにした。2年連続の最高更新は1500万人とされる上限が間近に迫ることにもなる。施設の拡張余地に限りがあるなか、持続的成長への課題が浮かび上がる。

「日本が誇るエンターテインメントを世界中の方々に知ってもらえるように盛り上げたい」
14日、人気アーティストのきゃりーぱみゅぱみゅさんがピンクのはかま姿でUSJに登場した。15日から始める期間限定イベント「ユニバーサル・クールジャパン2016」の報道陣向けセレモニー。今回で2回目となるイベントは海外でも人気のあるアニメやゲームを前面に打ち出し、冬の集客力の底上げを狙う。
閑散期となる1~3月の入園者数はハロウィーンなど最盛期の3分の1に落ち込むものの、ユー・エス・ジェイの森岡毅執行役員は「突き抜けたコンテンツがあれば、むしろ耕す余地は大きい」とみる。実際、15年のイベント期間は入園者数が4割増えた。既存施設に手を加えるなどして対応するため、「投資効果も高い」(森岡氏)。

14年7月に導入した映画「ハリー・ポッター」をテーマにしたアトラクションなどがけん引し、USJの入園者数はここ2年でおよそ300万人上積みされた。今春にも約100億円を投じ、恐竜が題材のジェットコースターも新設する予定。好調が続くUSJに死角はないのか。
懸念の一つは宿泊客の受け入れ体制だ。大阪市内のホテルの客室稼働率はこのところ約9割と満室状態が続く。入園者の1割近くを占めるまでになった訪日客は「まだまだのびしろがある」(森岡氏)とみるものの、現状では機会ロスが膨らみかねない。
現状の成長軌道が続けば、USJ自体も16年度にはほぼ満杯状態となる可能性がある。新たな成長のけん引役と位置付けられているのは沖縄県でのテーマパークの新設計画だ。15年11月に親会社が米ケーブルテレビ大手コムキャストになり、この計画の進捗状況に遅れが生じていることも懸念材料だ。
沖縄進出は親会社の交代とともに退任した前最高経営責任者(CEO)のグレン・ガンペル氏を中心とする旧経営陣が進めてきた。計画の遅れはCEO交代など経営体制の一新に伴い、「計画を説明するプロセスが必要になった」ためだ。
ただ、資金力のあるコムキャストが親会社となったことで「いままで考えられなかったような大型投資ができる可能性も広がった」(森岡氏)と受け止め方はあくまで前向き。今春に開業15周年を迎えるUSJ。次の成長戦略をどう描くか、真価が問われる。(小泉裕之)
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