「100円ショップ」快走 キャンドゥ大幅増益
円高と消費者の節約志向の2つの逆風をテコに「100円ショップ」が絶好調だ。大手のキャンドゥが、14日発表した2015年12月~16年8月期の連結営業利益は前年同期比68.5%増。通期の見通しも過去10年では最高となる。

15年12月~16年8月期の売上高は5.3%増の512億7300万円。天候不順で直営既存店の売り上げに影響が出たというが、増収を確保した。
国内の厳しい消費環境の中だからこそ、強さが際立つ。
総務省の8月の家計調査(速報)では、1世帯あたりの消費支出(2人以上世帯)は27万6338円と、物価の変動の影響を除く実質で前年同月比4.6%の減少。前年割れは6カ月連続で、一般消費者の財布のひもは緩んでいない。
通期予想も上方修正
こうした節約志向の中でも、キャンドゥでは機能性の高い素材を使った衣料や、化粧品やインテリア用品などの新商品の売れ行きが好調だった。
そこに原油安と円高の追い風が吹いた。同社が扱う商品の多くは海外で作られたプラスチック製品。その仕入れ価格の低下につながった。もちろん新商品の投入や在庫管理の徹底という自助努力も奏功した。
キャンドゥは16年11月期通期の見通しも見直した。連結営業利益は前回予想比36.2%増の23億9000万円。当期純利益は32.2%増の10億3000万円と、直近ピークの12年11月期を上回り、過去10年では最高益となる見通しだ。
好調な「デフレ下の優等生」
低価格や値ごろ感を強く打ち出す「デフレ下の優等生」の快進撃はキャンドゥだけではない。同じ100円ショップのセリアや、アパレルのしまむらや家具のニトリホールディングスなども業績が上向いている。
「高額商品の注文は少ないが、低価格商品には一定の需要があり、大きな社会的変化がない限り現状のまま」――。内閣府が発表した9月の景気ウオッチャー調査(街角景気)でもこんな声が全国から寄せられた。デフレの優等生たちが好成績を収める状況が当面続きそうな気配だ。
(浜美佐)
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