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VW、EV普及へ勝算あり 日本市場の条件そろう

独フォルクスワーゲン(VW)日本法人は14日、人気2車種の電気自動車(EV)版を2015年に発売すると発表した。EVの普及は当初の予想を下回っているが、VWは充電インフラの拡充や電池性能向上を背景に近く本格拡大期に入るとにらみ、投入を決めた。輸入車トップが日本のEV市場に新風を吹き込むか。

4人乗り小型EV「e-up!(イー・アップ)」は366万9千円で、1回の充電で最長185キロメートル走れる。15年2月から予約を受け付ける。納車は最もはやくて3月で、その場合、補助金利用で300万円を切る見通し。主力車「ゴルフ」のEV「e-Golf」も15年半ばに発売する。

日本で販売している主なEV(VWの2車種は15年発売)
価格航続距離
e-up!(独VW)366万円~185キロメートル
e-Golf(独VW)400万円台後半215キロメートル
リーフ(日産)279万円~228キロメートル
アイ・ミーブ(三菱自)226万円~120キロメートル
i3(独BMW)499万円~229キロメートル
モデルS(米テスラ・モーターズ)823万円~約390キロメートル
スマート(独ダイムラー)299万円~181キロメートル

両車種はガソリン車と外観や内装を同じにし、コストを削減。庄司茂社長は14日の記者会見で「昨日までガソリン車のアップやゴルフに乗っていた人も違和感なく乗れる」と語った。

VWは車検時の買い替えや2台目需要などを取り込んでいくが、価格や1回の充電で走れる距離(航続距離)などは、先行勢に比べて圧倒的な競争力をもつわけではない。大手量販EVでは三菱自動車、日産自動車以降の本格参入がなく、国内累計EV販売は当初予定を下回り、約6万台にとどまっている。

それでも今、VWが日本にEVで参入するのは、冷静に先行きを見極めているためだ。

背景のひとつは、ここにきて研究開発への手応えを感じている点だ。庄司社長は「VWの技術陣は電池性能を今の約2倍に高めるメドを立てている」ことを明らかにした。EVを革新的に進化させられれば、消費者へのアピールは大きい。

もうひとつは普及への課題が徐々に解消されてきていることにある。トヨタ自動車、日産、ホンダ、三菱自の4社は共同で新会社を設け、充電器の設置後押しに乗り出した。小売りでもイオンが14年度内に1150基(普通充電器も含む)を設置、ファミリーマートも500店に急速充電器を置く。

VW日本法人も自ら、約250の販売店に充電器を設置していく。充電の規格は、世界的にはVWなどの欧米勢の「コンボ」が日本の「チャデモ」と争っているが、今回の2車種は「チャデモ」に対応させた。

約30分で8割の充電ができる急速充電器は国内に12年1月で約800基、今年9月で約2千基だったが、15年3月末に約6千基と3倍になる。これは国内のハンバーガー店の総数に匹敵する。

新車種投入も相次いでいる。独BMWが小型車「i3」を発売したほか、米テスラ・モーターズもセダン「モデルS」の納車を始めた。日産と三菱自は共同で開発する軽自動車ベースのEVを16年度をメドに発売する見通しで補助金込みで100万円台半ばを目指す。VWは最近の「好調輸入車」の立役者ではあるが、投入表明で「EVでもVW」を打ち出す。

トヨタが燃料電池車(FCV)を14年度内に700万円程度で発売するなど、次世代自動車の競争は激しさを増す。「究極のエコカー」といわれるFCVの普及にはEVをも上回るインフラ投資が必要とされる。VWの参入で日本のEV市場が活性化するかどうかによって、エコカー市場の勢力図も変わりそうだ。

(松本正伸)

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