2019年8月25日(日)

アパレル不況に「絶食系」の影 大手でリストラ相次ぐ

2017/1/13 17:49
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アパレル不況が止まらない。婦人向け礼服最大手の東京ソワールは13日、従業員の1割にあたる約30人の希望退職者を募集すると発表した。レナウンが同日発表した2016年3~11月期連結決算も最終損益が赤字に転落した。ワールドや三陽商会などアパレル大手でもリストラや大量閉店が相次ぐ。「冬の時代」が続くアパレル業界。恋愛やおしゃれにまったく関心がない「絶食系」若者の影がちらつく。

■東京ソワール、15年12月期は最終赤字

東京ソワールは50歳以上の社員を対象に希望退職を募る。期間は2月22日から3月3日まで。退職日は3月31日だ。退職者には所定の退職金に加えて特別退職加算金を支給。希望者には再就職支援も施すとしている。

婦人向けの礼服を得意としてきた東京ソワール。だが、主な販路である百貨店やチェーンストアでは販売が振るわず、2015年12月期には最終赤字に転落した。

不採算ブランドの廃止や赤字店舗の閉鎖などを通じて採算は改善しつつあったというが、「企業競争力を高めるためには、事業構造改革と事業規模に応じた人員体制への移行が不可欠」(東京ソワール)と判断、今回、人員削減に踏み切った。

苦しい状況に置かれているのは東京ソワールだけではない。13日に2016年3~11月期決算を発表したアパレル大手、レナウンも厳しい。最終損益は8億6500万円の赤字(前年同期は4億6200万円の黒字)だ。

■三陽商会は2割削減

三陽商会のブランドを扱う店舗

三陽商会のブランドを扱う店舗

業績悪化を受けて身を切る決断が相次ぐ。三陽商会は昨年6月、全従業員の2割にあたる250人の削減を発表。ワールドは2016年3月期に13ブランドを廃止して約500店舗を閉め、約450人の希望退職者を募った。東京スタイルとサンエー・インターナショナルの経営統合でできたTSIホールディングスも16年2月期に12ブランドを廃止。約260店の閉鎖に追い込まれた。

衣料品の販売不振は深刻だ。総務省の家計調査によると、2015年の衣料品への支出は前年比で実質7.2%の減少。「ゾゾタウン」をはじめとするネット通販では販売が伸びているものの、百貨店や量販店の落ち込みを補いきれていない。

■「モテ系」時代は今は昔

矢野経済研究所によると、国内のアパレル市場規模は2015年に約9兆3600億円。10年前には女性ファッション誌「CanCam」に代表される「モテ系」ファッションがブームとなり、10兆円を超えていた市場はすっかり縮小モードだ。

厳しい市場環境のなかでは立ち直れない企業も相次ぐ。帝国データバンクの調査によると、2016年1~8月期のアパレル関連企業の倒産件数は205件。その数は前年同期よりも6.8%増えている。

そもそもなぜ服が売れないのか。アパレル各社はその理由に消費者の節約志向の高まりや天候不順を挙げるが、理由はそれだけではない。

一つは古着市場の拡大だ。後押しするのは「メルカリ」をはじめとするフリーマーケットアプリ。最大手のメルカリのダウンロード数は国内で4000万を超える。安く出回る中古の服が新しい服の売り上げを抑えている。

■若者、異性に興味ナシ?

消費者側の変化も見逃せない。ある調査によると、服を買う上で異性の目を気にする人の割合は45%。今や若者の多くは、おしゃれをする動機すら見失っているのだろうか。

そういえば、「モテ系」ファッションのブームが一服し、恋愛に消極的な「草食系」や、恋愛に興味ゼロの「絶食系」の存在が指摘され始めたのは2008年ごろ。市場が縮み始めた時期と一致する。

国立青少年教育振興機構の調査によると2015年に「結婚したくない」と答えた20代の未婚者の割合は17.8%で、前回調査(2008年)より7.7ポイント上昇した。アパレル不況にブレーキをかけるカギは「絶食系」を攻略するしかないのかもしれない。

(岸本まりみ)

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