2019年2月17日(日)

空売り投資家、日本勢を標的 日電産株など一時急落

2016/12/13 15:33
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空売り投資家が日本企業に照準を合わせている。米マディー・ウォーターズは13日(日本時間)に日本電産が「強引な会計手法を使っている」として同社株を空売りしていると表明。英国領に本社を置く投資情報会社は空気圧機器大手のSMCについて「強い売りを推奨」とするリポートを発表した。これらの発表を受け、東京株式市場では日本電産とSMCの株が一時急落した。

日電産を空売りしていると表明したのは米調査会社、マディー・ウォーターズ。同社が空売り対象として日本企業を名指しにするのは初めてだ。13日に発表した53ページにわたるリポートでは、日電産は「過去4年間、M&A(合併・買収)を除いた自律的な成長をしていない」として、「非常に強引な会計手法」を採用しているとの見解を示した。また日電産が今年5月に米ニューヨーク市場の米預託証券(ADR)を上場廃止したことで米国での業績開示がなくなり、「情報開示の姿勢が年々後退している」とも指摘。目標株価を12日終値(9888円)よりも52%安い4764円とした。

これに対して日電産は13日、「業績及び会計処理についても透明性のある開示をしており、(リポートは)当社の見解とは全く異なる」との反論を発表した。株価は朝方には一時前日比6%安まで下げたが、売り一巡後は下げ幅を縮め、終値では0.08%安とほぼ横ばいだった。

一方、SMCを標的にしたのは弁護士出身の荒井裕樹氏が率いるウェル・インベストメンツ・リサーチ。「子会社の連結外しによる損失の隠匿、利益率・棚卸し資産の過大評価により、財務諸表及び監査報告書に対して大きな疑念を持っている」との見解を示した。SMCは13日正午に「適正な会計監査を受けている」とするコメントを発表。同社株は午前に一時11%安まで急落。終値では3.5%安となった。

空売り投資家はリポートを公表する前にあらかじめその企業の株券を借りて売却(空売り)し、株価が下がれば買い戻して利益を得る。空売り専門の調査会社がほかのヘッジファンドなどに情報を提供して稼ぐ場合もある。これまで日本企業が狙い撃ちになるケースはあまりなかったが、今年7月には米グラウカス・リサーチ・グループが伊藤忠の会計処理に疑義があるとするリポートを公表したことで、伊藤忠株は一時10%超下落。8月には米シトロン・リサーチが医療用ロボット開発のサイバーダインを「過大評価されている」と指摘して、株価を急落させた。

こうした空売り投資家の指摘が正しいとは言い切れないが、少なくとも市場での影響力は大きい。過去には米エネルギー会社のエンロンの不正会計をいち早く見抜いた空売りファンドなどの例もあり、ほかの投資家も空売り勢の主張を完全には無視しきれないからだ。今回、日電産を標的にしたマディー・ウォーターズも中国企業の会計問題に警鐘を鳴らしたとされる。

7月にリポートを公表された伊藤忠は即座に反論コメントを出したものの、株価が急落前の水準を回復するまでに1カ月以上かかった。サイバーダインの場合は13日時点でも公表前の株価を約2割下回ったままだ。

(富田美緒)

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