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富士ゼロックス不適切会計 背景に売上高至上主義

富士フイルムホールディングスは12日、傘下の富士ゼロックスの販売子会社で起きた不適切な会計処理を受けて375億円の損失が発生し、抜本的な対策のため富士ゼロックス会長に古森重隆会長が就くと発表した。何が問題だったのか。外部の専門家で作る第三者委員会が12日に公表した調査報告書では、「売上高1兆円への回帰 もう1丁(兆)やるぞ!!」との社内目標が示すような、行き過ぎた売上高至上主義が根本にあると指摘された。(登場人物のアルファベット表記は調査報告書による)

中堅幹部の暴走

調査報告書によると、不適切会計の主な舞台となったのは富士ゼロックスのニュージーランドの販売子会社。中堅幹部であるマネージングディレクターA氏が中心となって、複写機などのリース契約で問題のある取引を繰り返していた。

例えば、(1)顧客との契約時におけるサービス利用想定量を過大に計上した(2)リース契約期間満了前に契約を更新し、その際に過去の売り上げを取り消さずに、新たな売り上げを計上した(3)リース契約獲得のための販促費用相当額を売り上げに加算し、同額をリース債権に計上した、といった不適切な取引を行っていたという。

A氏がこうした取引に手を染めた理由として、第三者委員会は過大なインセンティブ報酬の存在を指摘する。つまり、現地従業員の固定給を低く抑える代わりに、売り上げ目標を達成したときの「ボーナス」を大盤振る舞いする報酬体系だったという。

もみ消された告発メール

2015年7月、ニュージーランド販社が不適切な取引を行っているとの内容の告発メールが、富士ゼロックスy副社長らに届く。同社のアジア・オセアニア地区の営業部門が中心となって調査が進められ、同年8月に上海で行われた経営会議(中国成長戦略レビュー)の際に、会議会場とは別の部屋でy副社長、w専務ら限られた幹部に対し調査結果が報告された。

内容は不適切な取引があることを疑わせるものだったが、w専務は「悪い部分をチェリーピッキングした記載にするな」などとコメント。y副社長は「まずは問題ないと書け」「ニュージーランドの第二章はちゃんとやる」などと述べ、実質的な問題先送りを指示した。

翌年の16年1月、ニュージーランド販社の社長が交代。新社長は調査の結果、約1億ニュージーランドドル(約79億円)の損失処理が必要との報告を上げる。これに対し、w専務とy副社長は同年2月以降、損失処理の減額を指示したほか、倉庫や韓国工場の売却による利益で損失を相殺することを決めた。また、問題となった中堅幹部A氏を退職させることを決定した。

本社からの売上プレッシャー

問題はもみ消されたにみえたが、16年9月に販社の財務諸表が公表されたのをきっかけに、ニュージーランドの複数の報道機関が損失発生の事実を指摘。続報で「不正な売上計上の可能性」を報じ、同国の警察省の重大不正捜査局(SFO)が捜査を始める。同年12月に捜査終了。富士ゼロックスの経営幹部全員、および富士フイルムホールディングスが本格的な対応に乗り出したのは、こうした一連の事態を受けてだった。

不適切な会計処理を回避できなかった原因として、調査報告書は「売上プレッシャー」の存在を指摘する。富士ゼロックスの16年3月期の単独売上高は7681億円。1兆円台達成を中長期の目標としており、社内の会議資料などでは「もう1丁(兆)やるぞ!!」の記述がみられるという。また、複数のインタビュー対象者から、本社からの業績達成圧力が非常に強いとの証言を得たとしている。

(石塚史人)

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