米ソニーピクチャーズCEOにFOX出身者 映画事業立て直し

2017/5/12 14:28
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ソニー映画子会社の米ソニー・ピクチャーズエンタテインメント(SPE)は11日(米国時間)、米メディア大手21世紀フォックスのテレビ部門トップなどを歴任したアンソニー・ヴィンシクエラ氏が会長兼最高経営責任者(CEO)に6月1日付で就く人事を発表した。ソニーは映画事業で1000億円以上の減損を計上したばかり。現在SPEの会長兼CEOを務めているマイケル・リントン氏は6月の退任を表明している。ヴィンシクエラ氏は就任早々、ヒット策に恵まれない映画事業の立て直しに挑むことになる。

ヴィンシクエラ氏は米CBSテレビなどで要職を経験し、2002年に21世紀フォックス(旧ニューズコーポレーション)の最大部門であるテレビ事業部門、フォックスネットワークグループのCEOに就任。08~11年は会長兼CEOを務めた。現在は米ファンドTPGキャピタル(旧テキサス・パシフィック・グループ)で、新しい技術が映画やテレビコンテンツの流通と視聴に与える影響などを分析し、成長分野への投資を担っている。

米タイム・ワーナー上級副社長から転身し、04年にSPE会長兼CEOに就いたリントン氏は、13年にエンタメ分野の分離上場を提案する米ファンドのサード・ポイントと対決し、14年にはSPEへのサイバー攻撃などを乗り切った。だが映画では大型ヒットに恵まれず、交代を求める声も出ていた。

リントン氏は2月に映画・音楽担当のソニー執行役員を辞め、SPE会長兼CEOは6月に、音楽分野も含めた米ソニー・エンタテインメントCEOは今夏にも退任する予定。ソニー・エンタテインメントCEOは平井社長が当面は兼務し、ヴィンシクエラ氏は音楽分野は担当しない見通しだ。リントン氏は新規株式公開(IPO)した写真・動画共有アプリ「スナップチャット」の運営会社、米スナップの会長に既に転身している。

ソニーは16年10~12月期に映画分野で1121億円の減損損失を計上した。1989年に買収したコロンビア・ピクチャーズ・エンタテインメントの営業権が過半を占める。DVDなどのパッケージ市場の縮小ペースが早く、配信ビジネスの伸びが追いつかないためだ。映画制作事業の将来の収益見通しを下方修正した。

2月からは平井社長が自ら1カ月の半分を米カリフォルニア州カルバーシティ市(映画子会社の本社所在地)で過ごし、リントン氏の後任探しに奔走していた。平井社長はヴィンシクエラ氏を選んだ理由について「メディア業界で豊富な経験を持ち、クリエイターとのコラボレーション力や新しいテクノロジーに関する専門知識などはSPEをけん引してくれる」と述べた。ヴィンシクエラ氏は「コンテンツの制作、供給、視聴方法の全てが大きく変わりつつある今、ソニーグループと協力することで大きなチャンスが生まれる」とコメントを出した。

中国企業などによる再編が相次ぎそうなハリウッド。だがソニーは「SPEの売却は考えていない」(吉田憲一郎副社長)とし、米フォックスで「アバター」を手掛けたトム・ロスマン氏を映画制作トップに起用しててこ入れしている。映画ビジネスは長い期間を必要とするため、「成果が出るのは18年度以降」(同)。「インナー」と呼ばれる人々が支配するハリウッドで、投資家経験を持つヴィンシクエラ氏が新しい風をどこまで吹き込めるかがカギになりそうだ。(中藤玲)

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