ホンダ、東南アの配車アプリ最大手に出資
二輪車市場に変化の波

2016/12/12 16:42
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ホンダが12日、東南アジアの配車アプリ最大手グラブに出資したと発表した。背景にあるのは二輪車市場に押し寄せる変化の波。東南ア各国では所得水準の向上で、「二輪車」から「四輪車」への需要シフトが起きつつある。加えてモノを所有せずに複数の利用者で共有する「シェアリングエコノミー」も台頭する。ホンダとグラブの提携は、二輪車業界が「作れば売れる時代」が終わりを迎えつつあることを示している。

■世界の二輪車需要は5.4%減

一つの目安がある。一般的に二輪車が普及しはじめるのは1人あたりの国内総生産(GDP)が1000ドルを超える経済水準で、3000ドルを超えると四輪車へのシフトが急速に広がるとされる。「バイク天国」の東南アジアでも、インドネシアが2010年に3000ドルを突破。フィリピンも15年に2899ドルとあとわずかの水準に迫った。ベトナムでも、20年には3200~3500ドルに達するとの政府推計がある。

ヤマハのまとめによると、15年の世界の二輪車需要は5264万台と前年よりも5.4%減った。巨大市場のインドでの需要拡大など明るい兆しもあるが、新興国全体では頭打ち感が漂う。経済成長で四輪車シフトが進む新興国が増えていることが一つの要因だろう。

さらにメーカーにとって脅威なのがシェアサービスの広がりだ。公共機関の整備が遅れる東南アではもともと二輪車を使った「バイクタクシー」が市民の足として人気を集める。そのドライバーの稼ぎを良くするツールが配車アプリだ。スマートフォン(スマホ)を介してドライバーと乗客をつなぐこのアプリが、東南アのモビリティー市場に風穴を開けた。

けん引役がグラブだ。同社は米ハーバード大学の学生だったアンソニー・タン氏らが12年に設立。マレーシアで自動車の配車サービスを始めたのを皮切りに、14年にベトナム、15年にはインドネシアでも二輪車タクシーの配車を始めた。現在は東南アジア6カ国で配車アプリを提供する。

■ソフトバンクも出資

グラブにはソフトバンクグループも出資する。14年に2億5000万ドル(約290億円)を投じ、今年9月にも他社と企業連合を組んで7億5000万ドル(約860億円)を追加出資した。10月にはソフトバンクの投資部門出身のミン・マー氏がグラブ社の社長に就任し、事業拡大を急いでいる。

もっとも、成長市場だけに競争も激しい。米配車アプリ大手のウーバー・テクノロジーズは今年に入り、タイやインドネシアで相次ぎ二輪車の配車サービスを開始。インドネシアでは現地企業のゴジェックも二輪車の配車アプリ事業に力を入れる。

ホンダはグラブと手を組み、配車アプリを搭載した理想的なバイクタクシーや、シェア時代の新たなモビリティー事業の姿を探っていくものとみられる。それ自体が、これからの新しい二輪車市場を作り出すきっかけになるのか。ホンダの取り組みは世界の二輪車業界の注目を集めそうだ。

(富田美緒)

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