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「プロ経営者」受難の時代 原田ベネッセ社長退任

ベネッセホールディングスは11日、原田泳幸会長兼社長が6月25日付で退任すると発表した。原田氏は米アップルの日本法人、日本マクドナルドホールディングス、そしてベネッセを渡り歩いた「プロ経営者」の代表だったが、とうとうつまずいた。その退場劇は、プロ経営者受難の時代を告げている。

情報流出事件でつまずき

原田氏は日本NCRを振り出しに外資系企業で経験を積んだ。英語に堪能で、マーケティングなどの知識も豊富。そして、60歳になってからもランニングを楽しみ、フルマラソンを走った。

「節制しているのか、本当に格好いい。話も理路整然としていて説得力がある」。原田氏がつとめた企業の幹部たちから、こんな印象を何度も聞いたことがある。

それは、日本マクドナルドの業績に陰りが見え、原田氏がベネッセ入りした直後でも同じだった。つまり、その時点では、IT(情報技術)に詳しく、欧米流の経営スタイルが持ち味だった原田氏の経営手腕に周囲は疑問を持っていなかったのかもしれない。

ところが、2014年にベネッセ入りすると、「想定外」ともいえる事態が原田氏を襲う。顧客情報の大量流出事件である。

ベネッセの主力である「進研ゼミ」や「こどもちゃれんじ」は子供向けで、その個人情報の流出はベネッセの信用を大きく傷つけた。情報流出事件以降、多くの会員が退会。原田氏はてこ入れ策を打ったものの、手応えを感じられなかったのだろう。

大黒柱である通信教育講座「進研ゼミ」の会員数は今年4月時点で243万人。前年同月比で11%も減っている。その結果、ベネッセは前の期に続き2期連続の最終赤字に陥った。

そんなベネッセの苦境にいらだっていたのは原田氏本人だけではないはずだ。当然、原田氏に経営改革を委ねた創業家の福武総一郎氏やベネッセの経営幹部たちも、「この路線で大丈夫なのか」と首をひねっていたかもしれない。

今週9日、LIXILグループが開いた決算発表の記者会見。6月に退任することが決まっている藤森義明社長も出席したが、新社長の横で神妙な面持ちを崩さなかった。

LIXILの藤森氏も退任

藤森氏は米ゼネラル・エレクトリック(GE)で実績を上げた後にLIXILグループに経営トップとして招かれた。原田氏と同じく、プロ経営者の代表である。積極的なM&A(合併・買収)戦略で日本国内を向いたLIXILグループを一気にグローバル企業に脱皮させようとした。

しかし、買収先で会計不祥事が発生。経営改革は思ったような効果を上げられずにLIXILグループを去ることになった。

原田氏や藤森氏らが「経営改革の請負人」として脚光を浴びたのは、それだけ経営手腕への期待が高かったからだ。「招いた側」は、プロ経営者たちの経営改革にかけている。その結果、プロ経営者たちの報酬は生え抜きの経営トップより高額な場合が多い。

ならば、期待にこたえられなかったときは、どうか。高額の報酬をカットされるだけではなく、業績によってはすぐに退任を迫られても仕方ない。「経営のプロ」を名乗るなら、欧米の企業社会のように株主らの冷徹な評価にさらされて当然だろう。

海外の投資家たちが日本の企業の経営者たちに注ぐ視線は厳しさを増している。プロ経営者たちに対しても、それは同じ、あるいは、なおさら厳しいのではないか。

一ついえば、プロ経営者たちがつまずいたとしても、彼らに再びチャンスがあってもいいことを忘れてはならない。彼らは、生え抜き人材ばかりの企業が目立つ日本で、経営者人材の流動化のシンボルであるからだ。その台頭は、日本の企業社会にダイナミズムをもたらすはずだ。

そこにもプロ経営者の存在意義がある。

(武類雅典)

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