ルネサス、前期営業減益 見えぬ革新機構の「出口戦略」

2016/5/11 16:46
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ルネサスエレクトロニクスの業績が足踏みしている。11日、2016年3月期の連結営業利益が前の期比0.6%減の1037億円だったと発表した。カーナビゲーションシステム用の自動車用半導体の減少などが響いた。今期は主力の車載用半導体は堅調に推移すると見ているが、円高や熊本地震の影響が出そうだ。筆頭株主である官民ファンドの産業革新機構は保有株の売却先を探しているが、低調な業績は売却条件の悪化につながりかねない。今期は再編をにらんだ勝負の年になる。

16年3月期の売上高は構造改革に伴う製品数の絞り込みで前の期比12%減の6932億円だった。前の期に計上したリストラ関連損失の減少で純利益は5%増の862億円だった。今期から決算期を3月期から12月期に変更したうえで、熊本地震で川尻工場(熊本市)がいったん稼働を停止したため、現時点では業績予想は見送った。主力の車載用半導体は堅調という。

ただ、今期はリストラによる業績押し上げ効果は期待できない。前期までに国内工場を設立当初からほぼ半分の11工場まで減らし、従業員もピーク時の半分以下となる2万人弱にまで減った。リストラの余地は極端に狭まっており、利益率を引き上げるには本業をしっかりと伸ばすしかない。

ただ、株式市場からは「長期的な成長の目は見えていない」(国内証券アナリスト)との声があがっている。ルネサスが得意とするのは自動車に使う車体やエンジンなどの制御用マイコンだが、自動運転車やインターネットと常時接続する「コネクテッドカー」など新しい自動車向けの半導体で主導権を握り、存在感を示しているとは言いがたい。ある業界関係者は「人員削減によって優秀な技術者が減り、予算も絞られたことから、競争力のある半導体を生み出す力が弱っている」と指摘する。

ライバルは着々と地歩を固めている。オランダのNXPセミコンダクターズは15年12月に同業の米フリースケール・セミコンダクタを買収し、ルネサスを追い越して車載マイコンで世界首位に躍り出た。ルネサスへの攻勢は強まるばかりだ。

一方で、13年に1383億円を出資し、発行済み株式の69%を握る革新機構は売却先を探している。株式を一定期間売却できない「ロックアップ」契約が昨年9月に解除されたからだ。

ルネサス株の11日終値は642円。買収時の株価を上回って推移してきたが、直近のピークだった2月2日の840円と比べると下回っている。今後の製品戦略で明確な成長シナリオを示さなければ、株式市場の期待を損なう。このまま株価が低迷すれば、革新機構は株式売却のタイミングを失いかねない。単独での生き残りにこだわらず、早期に再編相手を見つけた方がいいとの指摘もある。

ルネサスは4月、カルソニックカンセイ社長や日本電産副社長を務めた経験がある呉文精氏を社長兼最高経営責任者(CEO)に招く人事を発表したばかり。6月下旬の着任早々、呉氏は難しい課題に直面することになる。

(相模真記)

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