世界でネット投資再び、ソフトバンクが戦略転換

2015/5/12 1:30
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ソフトバンクが海外のインターネット関連企業への投資に成長の軸足を置く。11日に発表した2015年3月期連結決算(国際会計基準)は純利益が過去最高となったものの、16年3月期は減益になる公算が大きい。孫正義社長(57)は自身の後継候補に世界最大のネット企業、米グーグルから引き抜いたニケシュ・アローラ氏(47)を指名。営業利益の8割を国内の通信事業で稼ぐ現状から「世界のソフトバンク」へ脱皮を目指す。

「今年は第2のステージに向かう意味で大変重要な年になる」。11日、東京都内で開いた決算記者会見で孫社長はこう切り出した。7月1日付で社名を「ソフトバンクグループ」に変更し、「ソフトバンク」は国内の通信事業を手がける中核子会社のソフトバンクモバイルに譲る。「これまでメーンは国内、海外はサブだった。これからはグローバルな会社になる」と述べた。

「世界」へ挑む姿勢とともに孫社長が明確に示したのは今後の成長投資をインターネット分野中心に振り向けることだ。

06年のボーダフォン日本法人買収による携帯電話参入からほぼ10年、孫社長は13年の米携帯3位スプリント買収など「自分の頭と時間の90%以上を通信事業に集中してきた」。もともと米ヤフーなどネット分野の優れた新興企業を見つける「目利き」として世界的に高い評価を受けている孫社長。最近は「趣味のように続けてきた」というネット分野への投資に「もう一度戻る」。

背景にあるのは米携帯4位TモバイルUSの買収断念と3割強を出資する中国・アリババ集団の新規株式公開で手にした巨額な含み益だ。14年夏以降に続いた挫折と成功が心変わりを促したとみられる。記者会見で孫社長は初めてスプリントとTモバイルUSの合併計画が白紙となったことに正面から言及した。

グループ企業の業績は着実に伸びているため、孫社長は「今期も実質的な増収増益基調は続く」と強調した。しかし、ネット関連企業への投資を成長のけん引役に据えることは裏を返せば通信事業での成長が頭打ちになりつつあることを示している。当たり外れがあり回収に時間もかかる投資事業で着実に結果を出すには、通信事業の拡大と同程度の難しいかじ取りを迫られる。

世界戦略を描くパートナーとして、代表権のある副社長にはアローラ氏を起用する。14年秋からソフトバンクの経営に加わったアローラ氏はすでにインドのネット通販大手スナップディールなど総額2000億円規模のM&A(合併・買収)を主導。孫社長は「ネット事業への知見や人脈、経験が豊富。人格も素晴らしい」と太鼓判を押し、「(私の)最も重要な後継候補であることは間違いない」と話した。

一方、孫社長の懐刀として国内事業を切り盛りする宮内謙副社長はソフトバンクグループでは取締役となり、国内通信事業を担う新しいソフトバンクの社長に専念する。グローバル志向を鮮明に打ち出すなか、「ナンバー2」としてのアローラ氏の序列は明確になる。

もっとも「まだまだ引退するつもりはない」とする孫社長がグループをけん引する体制は当面続く見通し。アローラ氏にそのままバトンを渡すとは限らない。

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