2019年1月22日(火)

三菱地所、事業モデル革新へ1千億円の投資枠 新中計を策定

2017/5/11 14:00
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三菱地所が4月に就任した吉田淳一社長の下、攻めの姿勢を鮮明にしている。11日に発表した2020年3月期が最終年度の3カ年の中期経営計画では、事業モデル革新に向けたグループ横断の投資枠として一千億円を設定。新たな観光需要の掘り起こしや、強みの丸の内エリアの魅力を高める新事業の創出などに充てる方針で、M&A(合併・買収)への活用も視野に入れる。JR東京駅周辺の保有ビルの賃料収入で安定して稼ぐ「丸の内の大家」からの脱却を狙う吉田社長の思いは実を結ぶか。

「少子高齢化の進展や第4次産業革命などで新たな価値観が生まれる中、従来と違う事業モデルの構築が必要。ターゲットの顧客の切り口を変えて(企業の)付加価値を高めたい」。同日の記者会見で吉田社長は中計策定に当たっての環境変化に危機感を示した。

1千億円の投資枠は同社では初めての試みで、吉田社長によると、「メーカーでいう研究開発(R&D)投資」の位置付け。インバウンド(訪日外国人)需要の拡大、ベンチャー企業との協業によるテナントビジネスの価値向上に向けた投資に充てるという。

吉田社長は具体的な使い道のイメージとして、地方空港の運営受託の関連投資、さらには統合型リゾート(IR)などへの可能性を挙げた。「空港はインバウンドで重要な要素。周辺地域の魅力向上へ商業施設も手掛ける当社のノウハウを生かせる」と指摘。そのうえで民営化される福岡空港などの運営権の入札にも意欲を示した。

事業モデル革新に向けた動きは始まっている。4月には意思決定のスピードアップを狙い、新規事業開発を担う「新事業創造部」を社長直轄化。さらに他業種との協業拡大によって大企業の本社が集中する老舗エリアの丸の内を新ビジネスを誘発する地域に生まれ変わらせるべく、ビル事業グループに「オープンイノベーション推進室」を新設した。

17年度下期には三菱地所の本社を大手町ビル(東京・千代田)から近隣に新設された大手町パークビルディング(同)に移転する予定だ。吉田社長は新本社を「新たな働き方を示すショールームとして提案していく。新しいモノを順次採り入れていく柔軟性のあるオフィス空間をつくることが働き方改革にも寄与する」と話す。

同社が前日に発表した17年3月期の連結決算は、営業利益が前の期比16%増の1925億円と過去最高を更新。3年前に策定した前中計の「1650億円以上」という数字を大きく上回った。好調なオフィス市況に支えられ、前期の同社単体の丸の内のビル空室率は2.4%と低水準。「想定以上に計画が進んだ」と吉田社長は手応えを示す。

ただ、18年以降にはオフィスの大量供給が見込まれるほか、20年の東京オリンピック開催以降の景気変動にも懸念が出ている。吉田社長はオフィス市況の先行きについて悲観視していない姿勢を強調するが、20年代の新たな種まきが必要という思いは強い。

とはいえ、今回の中計で示した20年3月期の営業利益目標の2200億円はライバルである三井不動産の前期の連結営業利益予想とほぼ同水準。吉田社長は「全く意識しないわけではないが、いたずらに規模を追求するよりも三菱地所の強みを発揮するのが重要」と話すが、出遅れ感は否めない。保守的な社風をいかに壊せるか。吉田社長のリーダーシップが問われている。(加藤宏一)

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