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Jディスプレイ、三たび赤字 好調アップルの波乗れず

半導体など電子デバイス関連で好業績が続くなか、液晶パネル大手ジャパンディスプレイ(JDI)の苦戦が目立つ。10日発表した2017年3月期の連結最終損益は316億円の赤字と3期連続の最終赤字に沈んだ。売上高の8割を占めるスマートフォン(スマホ)向けパネルが不振だった。最大顧客の米アップルは液晶から有機ELへのシフトが鮮明で、土俵際に追い込まれている。

「経営者として非常に責任を感じている」。有賀修二JDI社長は10日の決算発表の記者会見で、最終赤字の責任をたんたんと語った。2月の決算会見で「最終黒字にしたい」と宣言した本間充会長は姿を見せず、14年の上場以来、業績予想の下方修正を繰り返す癖を直せなかった。

3期連続の最終赤字は、新型パネル生産で歩留まり改善が遅れるなど、得意のスマホ向け液晶の供給で手間取ったのが理由の一つ。韓国サムスン電子が中国スマホメーカーの上位モデルで、有機ELパネルの売り込みに成功したのも響いた。

JDIは会見で、車載用など「非スマホ」液晶を伸ばして補う方針を示したが、売上高の1割程度と力不足だ。すでに「3期連続の赤字は追加融資を判断する上で相当ネガティブ」(取引銀行)と厳しい見方が広がっているが、苦境はさらに深刻になる恐れがある。

売上高の5割を依存するアップルが「iPhone」の17年秋モデルに有機ELを初めて採用するためだ。このあおりでJDIの18年3月期は前期に比べ2割ほど減収になる恐れがある。

iPhoneは18年モデルでも「有機ELの比率が大幅に高まる」(調査会社ディスプレイ・サプライチェーン・コンサルタンツの田村喜男氏)見通し。アップルをまねて成長してきた中国メーカーの追随は確実で、JDIが狙う上位モデルのパネルの主流は有機ELに移りつつある。

液晶一辺倒できたJDIは1900億円を投じ、16年12月に石川県白山市で液晶パネル工場を稼働させたばかり。有機ELの技術は持つものの、有賀社長は10日の会見で「(アップルへの)18年の供給は間に合わない」と経営判断が裏目に出たことを認めた。

「アップルの変心」の裏には韓国メーカーの存在がある。サムスンは有機ELに1兆円近くを投じ、生産能力を増強。18年にはLGディスプレーもアップルへの有機EL供給を始めるもようだ。

JDIは5年前、官民ファンドの産業革新機構が主導し、総合電機の液晶事業を統合して設立した。似た構図だった半導体のルネサスエレクトロニクスは革新機構が持ち株の売却に動くなど「出口」が見えてきたが、JDIはもたついている。

革新機構は6月、有機ELパネル開発のJOLED(ジェイオーレッド)社長の東入来信博氏をJDI社長に招き、再建を託す。しかし、液晶から有機ELへの産業構造の転換を乗り切るのは、たとえ敏腕の経営者でも簡単ではない。

(細川幸太郎、浜岳彦)

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