KDDI、苦渋の「格安」 新興勢に押され値下げ

2017/7/10 23:00
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KDDI(au)は10日、スマートフォン(スマホ)の主要プランを最大3割値下げすると発表した。平均で2割という異例の下げ幅で、格安スマホへの顧客流出を防ぐ。KDDIは大手3社のなかでも格安スマホ普及による打撃が大きく、いわば一人負けの状況。同事業を手掛けるグループ会社だけでなく、本体のサービスも「格安」にして苦境打開を目指す。

新料金を発表したKDDIの田中社長(左)(10日、東京都目黒区)

新料金を発表したKDDIの田中社長(左)(10日、東京都目黒区)

10日に都内で開かれた新プランの発表会。KDDIの田中孝司社長は「月々の料金を安くしたい、自分の使い方にマッチした料金がない、といった顧客の声に応えた」と自信を見せた。

新プランは端末購入時の割り引きをなくす代わりに料金を大幅に安くする。例えば、データ利用が月1ギガ(ギガは10億)バイト以下で、1回5分間の国内通話かけ放題を含むプランの場合、月額料金は約3割安い3480円。光回線などとセットにすれば格安スマホ並みの月1980円から利用可能だ。提供開始は14日からで、既存ユーザーもネットなどで申し込めば切り替えられる。

今回の大幅値引きは2018年3月期に200億円程度の減収要因になる見通し。しかし田中社長は「格安スマホへの流出を阻止するため、料金値下げという即効薬が必要だった」と強調する。

実際、格安スマホへの顧客流出はKDDIの屋台骨を揺るがしつつある。同社は今年2月に契約回線数の内訳を初めて公表。回線数全体は伸びているものの、重複を除くユーザー数が少なくとも15年6月末以降、減少している実態が明らかになった。15年は格安スマホが市場で存在感を高めていった時期。ユーザー数の減少は今も続き、18年3月末には2477万件と今年3月からさらに37万件減る見通しだ。

もちろんNTTドコモとソフトバンクも格安スマホに押される構図はほぼ同じ。だがドコモの場合、格安スマホ事業者の多くに通信回線を貸して稼いでいる。自社ブランドの契約者が減ったとしても回線使用料で、ある程度カバーできる。ソフトバンクは格安スマホ首位のワイモバイルを傘下に持つ強みがある。

KDDIもUQモバイルなどの格安スマホ事業を展開している。ただ店舗数の少なさなどから苦戦が続き、ようやく本体の落ち込みをカバーしつつある規模になった段階だ。田中社長は「(顧客の流出は)想定以上の水準。世の中の動きに合わせる必要がある」と危機感をあらわにする。これまでは大手3社の1社が新料金を打ち出すと他社が即座に追随する横並びが続いてきたが「今回は単純に追随できない仕組みを盛り込んだ」という。

10日の東京株式市場でKDDI株は一時、前週末比103円50銭(3%)安の2886円と、約2カ月半ぶりの安値を付けた。格安スマホとの競合が厳しいとの見方が改めて広がったためだ。もっとも、競争環境の厳しさは他の大手についても意識され、NTTドコモは一時2%安の2607円と約2カ月半ぶりの安値を付け、ソフトバンクグループも1%安まで下げる場面があった。

(堀越功、須永太一朗)

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