マツダと大阪市大、光エネでエタノール合成 脱・化石燃料に道
マツダと大阪市立大学人工光合成研究センターの天尾豊所長は10日、光エネルギーを使った液体燃料のエタノールの合成に成功したと発表した。化石燃料に頼らない自動車燃料生産に新しい道を開く成果だという。今後はさらに幅広い光を活用し効率を高める考えだ。
詳細をオランダ科学誌アプライド・カタリシスB・エンバイロメンタル(電子版)に掲載した。人工光合成は光エネルギーを使って水素などの燃料を生み出す技術で、将来、化石燃料を代替すると期待されている。従来は液体燃料のエタノールを作るのが難しかった。
研究チームは人が酒を飲んだときに、エタノールを安全な酢酸に分解する酵素反応に着目し、太陽光のエネルギーを使って酵素に逆の反応を起こさせた。酢酸と酵素、太陽光を受け取るアンテナ分子などを水に溶かして光を2時間半当てると、酢酸の約5%がエタノールに変わった。光エネルギーを化学エネルギーに変える変換効率は約0.1%で、今後は幅広い波長の光を使って効率を高める工夫に取り組む。
酢酸は二酸化炭素と天然ガス由来のメタンを原料に、微生物を使って生産することを目指す。
マツダ技術研究所の高見明秀副所長は「エネルギーの多くを輸入に頼る日本にとって人工光合成技術は重要だ。数十年先の化石燃料の枯渇に備えて技術を育てていきたい」と話した。エネルギー変換効率10%が実用化の目安という。