ディズニー、作戦変更 自前で動画配信 ネット勢に対抗

2017/8/9 23:06
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米ウォルト・ディズニーは8日、2018年から自前の動画配信サービスを始めると発表した。米動画配信大手ネットフリックスなど新興勢力の台頭で、稼ぎ頭の有料テレビ事業に陰りが見えるなか、ブランド力と豊富なコンテンツを生かしネット勢に対抗する。既存の放送事業者との関係を重視し、配信に慎重だったディズニーにとって大きな戦略転換となる。

自前での動画配信参入の発表を受けディズニー株は時間外取引で下落した=AP

「メディア業界ではコンテンツの制作者と消費者が直接つながる傾向が強まっている。我々も消費者との関係を直接築き、市場の変化に素早く対応できるようにする」。ボブ・アイガー最高経営責任者(CEO)は8日の会見でこう述べた。

ディズニーは昨年、米大リーグ機構傘下で動画配信を手掛けるBAMテックの株式の33%を10億ドル(約1100億円)で取得。今回さらに42%を15億8千万ドルで買い取り、同社の経営権を握って有料の配信サービスを順次立ち上げる計画だ。

まず傘下のスポーツ専門チャンネル「ESPN」のサービスを18年初めに開始。19年にはディズニー本体とピクサー・アニメーション・スタジオの映画やテレビ番組を配信する「ディズニー」ブランドのサービスも始める。料金はどちらも未定。配信のみで視聴可能な限定作品の制作にも力を入れ、米国以外の地域への展開も進める。

一方、12年から続けてきたネットフリックスへのディズニー映画の提供は打ち切る。19年以降に公開する本体とピクサーの新作映画が主な対象で、マーベル・エンターテインメントとルーカスフィルムの作品の扱いは未定という。

ディズニーを戦略転換に駆り立てたのは、消費者の動画視聴習慣の変化だ。米国では若者を中心に割高なCATVを解約し、ネットフリックスのような動画配信に乗り換える動きが年々加速。ディズニーの営業利益の4割近くを稼ぐ有料テレビ向け番組事業は、視聴者の減少とスポーツ放映権料など制作費高騰の板挟みになり、苦戦が鮮明になっている。

8日発表した17年4~6月期決算は純利益が9%減の23億6600万ドル。上海などが好調なテーマパークは2桁の増収増益だったものの、有料テレビ事業が2桁減益に沈んだことが響いた。

会員数が世界で1億人を超え、なお膨張するネットフリックスへの危機感もある。作品提供のライセンス収入は決して小さくないが、配信を社外に依存し続ける限り「消費者と直接つながる」ことは難しい。自前サービスなら貴重な視聴データも手に入る。

05年にCEOに就任したアイガー氏はピクサー、マーベル、ルーカスフィルムを次々と傘下に収め、時価総額を3倍以上に増やした。投資家の信頼は厚いが、自前の配信を成功に導けるかは未知数だ。発表を受け、ディズニーの株価は8日の時間外取引で一時、同日終値から3%以上下げた。

19年7月の任期満了まで2年。アイガー氏は有終の美を飾れるか。

(シリコンバレー=小川義也)

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