キャッサバ残さからバイオ燃料 サッポロHD、タイで商用化
サッポロホールディングスはタイ石油大手PTGエナジーなどと共同で、イモ類の一種のキャッサバの残さからバイオエタノールを商用生産する。PTGなどが出資する企業がサッポロHDから技術供与を受け、15億バーツ(約50億円)を投じてタイにプラントを建設。2020年から年間6万キロリットルを生産する。食品に加工後の廃棄物を使うため食料と燃料の生産を両立できる。
キャッサバはタピオカに加工するでんぷんの原料としてタイで生産量が多い。でんぷんに加工後の残さから燃料を商用生産するのは世界初という。
キャッサバ残さは食物繊維を多く含むため、エタノールへの加工は難しいとされてきた。サッポロHDはビールの発酵技術を応用し、14年からタイ国内に実証プラントを建設して研究を進めていた。このほど、でんぷんと食物繊維を糖化した上で効率的に発酵させる技術開発に成功した。
タイで1400カ所のガソリンスタンドを運営するPTGエナジーと、でんぷんの生産を手掛けるEBPが出資する企業が、同国東部サケオ県にプラントを建設する。EBPから排出されたキャッサバ残さを原料にエタノールを生産し、ガソリンと混合してPTGのガソリンスタンドで販売する。サッポロは技術提供のコンサルティング料と生産量に応じた特許使用料を受け取る。
バイオエタノールは従来、サトウキビやトウモロコシから生産する方法が多かったが、エタノール生産用の作物が農地で作られることで食料生産が圧迫されることが課題とされていた。