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日立、株価一時8%安 三菱重との「泥仕合」に懸念

(更新)
日立と三菱重工の本社ビル(左が日立=東京都千代田区、右が三菱重工=東京都港区)=共同

日立製作所の株価が9日、前日比8%安と急落した。8日に南アフリカの火力発電所建設で発生した損失負担を巡り、三菱重工業からこれまでの請求額のほぼ2倍にあたる約7634億円の支払いを求められていると発表した。日立が支払いを拒否する姿勢を示したのに対し、三菱重工は「当社には請求権がある」と主張。「泥仕合」の末に巨額の負担が発生することへの懸念から9日朝の取引は売り気配で始まった。

日立株は昼すぎに8%安の619円40銭と約2カ月ぶりの水準まで下げ、622円30銭で取引を終えた。三菱重工も3%安と3日続落した。株式市場で売りが広がったのは、パートナーを組んできた三菱重工との交渉が長引いていることへの警戒感が強まったためだ。両者の主張は平行線をたどり、損失額は増え続けている。UBS証券の安井健二アナリストは8日付のリポートで日立の「財務改善は振り出しか」と指摘した。

損失負担はさらに膨らむ可能性もある。問題となっている案件は2007~08年に日立が受注したもので、2014年に三菱重工と日立が火力発電事業を統合したため、両社の共同出資会社がプロジェクトを引き継いでいた。だが建設費用は受注時のほぼ2倍に拡大。当初の計画では16~17年に終わるはずだった工事が進んでおらず、完了は20~22年に後ずれする見込みだという。

日立は08年の金融危機後に巨額赤字に陥ったのをきっかけに非中核事業の再編や整理を進めており、今年1月にも子会社の日立工機を米投資会社に売却すると発表したばかり。一時は11%台に下がった自己資本比率は16年12月末時点でほぼ30%にまで回復した。

だが負担額が大幅に膨らめば、これまで積み上げてきた財務の改善の歩みに水を差しかねない。日立の場合は現金だけで7600億円強を持っており、今回の負担額の拡大がそのまま経営不安につながるようなことはない。ただ18年度までの中期経営計画で掲げる1兆円のM&A(合併・買収)など「大型成長投資を早期実行する余裕はあまりない」(UBS証券の安井氏)という状態に戻ってしまう可能性はある。

三菱重工は9日の取引終了後、日立への請求について「法的に保証された契約合意に基づく正当な権利の行使だ」と改めてコメントを発表した。両社が共同で火力発電事業会社を発足した14年時点で「既に大きな損失が発生する見込みを認識し、その旨を日立に表明していた」としている。両社のつばぜり合いは激しさを増しており、泥仕合はまだ続きそうだ。(富田美緒)

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