2019年1月22日(火)

ソフトバンク、衛星使った携帯電話システム 試作機公開

2016/6/9 11:37
保存
共有
印刷
その他

ソフトバンクは9日、人工衛星を使った携帯電話の無線通信システムの試作機を都内で公開した。衛星通信システムとして世界で初めて高速通信サービス「LTEアドバンスト」に対応したという。衛星からスマートフォン(スマホ)に電波を直接送れ、山間部など日本全国を通信圏内にできる。大地震で地上の基地局が倒壊した際に代替するなど災害対策にも役立てられる。2020年代前半の実用化をめざす。

左右に羽根のようにアンテナを取り付けた端末の試作機

地上の基地局と同じ規格でスマホと通信ができる衛星通信システムの試作機を公開した。現在の一般的な衛星通信システムは専用の基地局や端末が必要だったが、新システムは米アップルの「iPhone」など一般のスマホが使うLTEやLTEアドバンストに対応した。

現在のスマホは電波の出力が弱く高度3万6000キロメートルの衛星と通信ができないため、高性能なアンテナを搭載した端末も試作した。今後、スマホの性能向上が進めば市販の製品でも衛星と通信ができるようになるという。周波数の割り当て申請や衛星の打ち上げ、費用対効果の検証、試験運用を経て2020年代前半の実用化をめざす。

衛星とスマホとの通信速度は毎秒1メガ(メガは100万)ビット程度と地上の通信よりも遅いが、山間部を含め日本全国をカバーできるため災害対策の用途に向く。大地震で地上の基地局が被災して携帯電話が使えなくなった際に代替する使い方を想定。熊本地震では通信網が復旧するまで2週間ほどかかったが、衛星通信を併用すれば基地局が倒壊しても通信サービスを継続できる。

災害時は震災情報を調べたり知り合いと連絡を取ったり通常時以上にスマホが欠かせない。ソフトバンクは基地局代わりに使える気球を開発するなど災害対策を強化している。

気球は内部に基地局の電波を中継する装置を搭載し、上空100メートルの高さまで飛ばす。正常に動作する近隣の基地局の電波を拾って周囲の利用者のスマホに送る。現場に着いてから最短2時間で打ち上げられ、最新型は毎秒150メガビットの速度で通信できる。

ソフトバンクの研究開発本部の藤井輝也室長は「開発中の衛星通信と組み合わせると災害対策を一段と手厚くできる」と話す。

携帯大手ではNTTドコモは基地局の倒壊に備えて非常用の「大ゾーン基地局」を全国に100超配置済みだ。災害対策専用のため日ごろは稼働していないが、すべてを動作させると人口カバー率で日本全国の3分の1のエリアを網羅できる。

KDDI(au)は船舶に基地局の設備を搭載して臨時の基地局として運営できる仕組みを開発した。被災地の沿岸に派遣すれば早期復旧につながる。実用化に向け海上保安庁と実証実験に取り組んでいる。

携帯大手3社は通信速度を引き上げるために基地局の整備などを競い合っており、平常時の通信速度やつながりやすさでは差がつきにくい。3社の競争の舞台は震災など非常時の対応に広がりつつある。(大和田尚孝)

日経電子版が2月末まで無料!いつでもキャンセルOK!
お申し込みは1/31まで

保存
共有
印刷
その他

関連企業・業界 日経会社情報DIGITAL

電子版トップ



[PR]

日本経済新聞社の関連サイト

日経IDの関連サイト

日本経済新聞 関連情報