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百度、東大ベンチャー買収 世界で「読み飛ばし」防ぐ広告

中国インターネット検索最大手で世界2位の百度(バイドゥ)は8日、東京大学発ベンチャーのポップイン(東京・文京)を買収したと発表した。ネット上の広告がどの程度深く読まれたかを測定する独自技術に、ネット広告事業で米グーグルとしのぎを削る百度が目をつけた。「読み飛ばされにくい広告」を売り物に、日中連合で世界市場の開拓をめざす。

握手する百度日本法人の張成煥社長(左)とポップインの程濤社長(8日、東京都文京区の東京大学)

百度の日本法人がベンチャーキャピタルの東京大学エッジキャピタル(同)やポップイン創業者の程濤社長らから、ポップインの全株式を取得した。買収額は推定で10億円程度。ポップインは売上高や利益を公表していない。同社は百度傘下で事業を継続する。

「買収理由の一つはポップインの技術のすごさだ」。同日記者会見した百度日本法人の張成煥社長はこう強調した。

 ■ニュースサイトが活用

ポップインは中国人留学生だった程氏が東大大学院に在学中の2008年に設立した。サイトに表示された広告文などについて読み終わるまでにかかる時間を算出し、閲覧者が実際にサイトにとどまった時間から熟読されたか読み飛ばされたか、読み込み度合いを測定する。従来の技術は広告が読まれたかどうかを把握するまでだ。

ポップインの技術の顧客は企業などの広告を掲載するサイトの運営会社。広告の精度を高めればサイトの媒体価値を引き上げられる。

記事に似た体裁の新たなタイプのネット広告として注目されている「ネーティブ広告」の効果検証にも利用され、既に200以上のニュースサイトが導入しているという。広告を読んだ人に別の広告を推薦する機能もあわせて提供する。米調査会社BIAケルシーは、19年のネーティブ広告の世界市場は14年の約3倍の2兆3千億円に拡大すると予測する。

 百度はこの技術をまず中国の自社サイトに導入する。百度は中国のネット検索で7割のシェアを握り、動画や地図、旅行など傘下に多様なサイトがある。アウトレットモール運営の三井不動産など訪日中国人観光客を狙った日本企業からの広告も増えており、より効果的な誘客が期待できる。

だが狙いは日本市場だけではない。「(ポップインの技術を)百度の技術と結びつけて世界で収益をあげていく」(百度グループの新規事業責任者の張亜勤氏)。人工知能(AI)による行動分析で個人に広告を効果的に配信する研究など、百度は今、ネット広告技術の開発を加速している。

 ■グーグルに対抗の思惑

昨年5月には米シリコンバレーにAI研究所を設立。今年に入ってネーティブ広告関連技術を持つ米タブーラへの出資も決めた。同社はパソコン向け、ポップインはスマートフォン向けに強く、補完関係になる。

世界の検索市場ではグーグルと百度が2強。グーグルも英AI開発企業などを買収し、広告効果の向上を急いでいる。百度にとってポップインの独自技術はグーグルへの対抗策になる。

日本の技術をテコに世界市場を攻める百度と、「ネット広告技術は米国発が主流だった。日本発、アジア発の技術を広げたい」(程氏)という日本のベンチャー。百度は「新しい取り組みをして成功させるのが日本事業の役割」(日本法人の張社長)としており、日中連合が今後広がる可能性もありそうだ。(多部田俊輔)

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