日産、EV時代も「ゴーン流」 逆張りの電池売却で外部調達

2017/8/8 23:16
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 日産自動車が電気自動車(EV)時代に「ゴーン流」で臨もうとしている。8日、車載用電池メーカー、オートモーティブエナジーサプライ(AESC、神奈川県座間市)の株式51%を中国の投資ファンドに売却すると発表した。EVの中核技術で前途洋々なはずの電池事業を手放す「逆張り」の判断の根拠は何か。

 「我々は(資本提携する仏ルノーなどを含め)累計46万台を販売した。メディアが注目する米テスラの2倍だ」。日産のカルロス・ゴーン会長は6月の株主総会で、EVのリーディングカンパニーだと力説した。

 「グループで2020年までに12億ユーロ(約1600億円)をEVなどの技術開発にあてる」とも宣言。年内には、AESC製の電池が載る主力EV「リーフ」の新型車も出す。

 そんな日産がAESCの中国GSRキャピタルへの売却を決めた。売却額は非公表だが、総額1100億円前後とみられる。米英に持つ生産設備や神奈川県にある開発・生産部門も譲渡する。

 AESCに共同出資するNECも、残り49%の株式を日産経由でGSRに売る。NECは電極を生産する子会社NECエナジーデバイス(相模原市)もGSRと売却の交渉中だと発表した。

 電池はガソリン車のエンジンに匹敵するEVの基幹部品だ。AESCを設立した07年当時はEVの普及に懐疑論が根強く「電池も内製するしかなかった」(日産幹部)。

 この1、2年で状況は一変。米中はEVなど電動車の生産・販売を義務付ける見通しで、英仏は40年までにガソリン車とディーゼル車の販売を禁じると表明。EVシフトは今や世界の潮流だ。

 呼応して、電池は投資競争の様相を帯びてきた。例えば、7月末にテスラが発売した量産型EV「モデル3」。電池はテスラとパナソニックが約50億ドル(約5500億円)を投じた米ネバダ州の巨大工場で生産する。

 世界最大のEV市場である中国を中心に、韓国LG化学などの数百億~1千億円超の投資が相次ぐ。日産は電池の投資競争と距離をおく方が「EVの開発や生産に専念できる」(西川広人社長)と自前主義を改めた。

 EVの生産コスト削減にもつながる。調査会社の富士経済(東京・中央)によると、車載用リチウムイオン電池の1キロワット時当たり単価は20年に2万1千円と16%下がる見通し。電池のバイヤーに徹し、供給先をてんびんにかける方が合理的だ。

 「情より理」。今回の選択は1999年にルノーから日産に移り、大なたを振るってきたゴーン会長の行動と重なる。取引先との関係を聖域なく見直し、コストを下げてきた。鉄鋼の値引き要求はNKKと川崎製鉄が経営統合し、02年にJFEホールディングスが生まれる引き金となった。

 17年3月には系列最大の部品メーカー、カルソニックカンセイの株式を米投資ファンドに売却。今回はNECの電池事業撤退につながった。

 一方で、自動車業界では「電池はEVの心臓。自前で続けた方が良かった」と疑問の声も上がる。トヨタ自動車はパナソニック、ホンダ三菱自動車ジーエス・ユアサコーポレーションと電池を共同生産する。

 各社が一気にEV増産にかじを切れば、日産は電池を買い負けしかねない。ゴーン流はEVでも正解なのか。答えはまだ見えない。(藤野逸郎)

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