2019年8月21日(水)

ペッパーに強敵、日立もヒト型ロボ 18年メド実用化

2016/4/8 21:52
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日立製作所は8日、2018年をメドにヒト型ロボットを実用化すると発表した。最高時速6キロメートルで走行し、空港や病院、商業施設で接客。4カ国語で訪日外国人にも対応する。ロボット単体ではなく、空港などのIT(情報技術)インフラと一体で売る。ヒト型の開発ではソフトバンクの「ペッパー」が先行したが、倒れても起き上がるなど高い運動性能で挑む。大手2社の技術競争が日本のロボット産業を再び離陸させられるか。

発表会で観光案内の実演をする日立製作所のヒト型ロボット「エミュー3」(8日午前、東京都港区)

「何かお困りでしょうか」。首を左右に振り周りの様子をうかがっていたロボットが、道に迷った外国人を見つけると自ら近づいて話しかけた。英語で「観光案内所はどこか」と質問されると英語で返答。外国人を連れて目的地へ誘導した。8日に公開したデモンストレーションの一幕だ。

日立が開発したヒト型ロボットは「エミュー3」。05年に1代目を発表したが実験室レベルにとどまっており3代目で初めて実用化にこぎ着ける。足裏に取り付けたタイヤで、空港や駅といった巨大施設内を最高時速6キロメートルで走り回り、観光案内や接客をこなす。搭載するカメラやマイクで集めた情報をネットワークを通じて解析、人と話したり周りを確認したりする。日立が販売するインフラのオプションとして企業向けに提供する。

国内での本格的なヒト型ロボットの実用化としてはソフトバンクが15年6月に発売したペッパーに続く。ペッパーは主に家庭向けで、高齢者などの話し相手としての使い方を想定。日本語をしゃべり、ソフトを追加すれば言語を増やせる。表情やしぐさの表現力がエミュー3より豊かな一方、移動速度は時速2キロメートルとゆっくりで、倒れたら自分では起き上がれない。

2つのロボットは同じヒト型とはいえ、得意分野や用途、売り方は大きく違う。市場での競合は少ないとみられるが、技術面では競い合う。シャープも持ち歩けるサイズで人と対話ができるヒト型を開発中だ。

ヒト型ロボットは日本が得意とする分野。人に自然な対話を促し、身ぶりで人に意図を伝えやすい。ロボット研究者の石黒浩・大阪大学教授は「(日本では)技術開発から事業化の段階に移りつつある」と話す。

一方、世界の潮流は違うところにある。ロボットベンチャーが集まる米国では警備や荷物運搬など機能を絞り込んだロボットが相次ぎ登場している。タイヤが付いた動く棒にディスプレーが取り付けてあるなど親しみやすいとは言い難いが、個々の性能は高い。

00年代前半、日本のロボット産業はホンダの「アシモ」などで注目を集めた。しかし、技術優先で顧客ニーズを十分に反映できたとはいえず精彩を欠くようになる。日立は「海外展開も視野に入れていく」としており世界に打って出る考え。国内で磨き上げたヒト型が海外でも受け入れられるのか。「ガラパゴス」にならないためにも世界のニーズを見誤らないことが課題になる。(竹居智久、諸富聡)

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