2019年7月18日(木)

国内医療用医薬品、武田が売上高トップ返り咲き

2017/8/8 16:00
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製薬大手の2017年4~6月期決算が8日までに出そろった。国内の医療用医薬品の売上高に着目すると、17年3月期通期に第一三共に抜かれた武田薬品工業が再びトップに返り咲いた。資産売却を追い風にした武田に対し、第一三共は再々逆転に意欲を燃やしているもよう。国内の盟主の座をかけた争いだが、コップの中の嵐の感も否めない。

今回の結果をどう思うか。両社の関係者に水を向けると、こんな答えが返ってきた。

「やっぱり武田さんも気にしているのかな」(第一三共)

「国内首位に越したことはないですが、第一三共さんほどこだわってないです」(武田)

「武田さんはデータの見せ方を変えてまで首位にこだわったのでは」(第一三共)

「(再逆転は)瞬間最大風速ですよ」(武田)

冗談めかした口調にもトゲが含まれるのは、それだけ両社の数字が接近しているからだ。

17年3月期通期の国内の医療用医薬品の売上高は、武田の5047億円に対し、抗潰瘍薬「ネキシウム」などが好調だった第一三共が5066億円で首位を奪った。4~6月期は武田が前年同期比10%増の1393億円、第一三共が5.4%増の1300億円で、再逆転した。

武田の2ケタ増収には特殊要因がある。傘下の武田テバ薬品(滋賀県甲賀市)に対して、糖尿病治療薬「アクトス錠」など特許が切れた医薬品(長期収載品)7品目を売却。この際の譲渡代金285億円の一部を売上収益として計上したことが大きく影響した。第一三共が悔しさをにじませるのも無理はない。

ただ、武田の場合、17年3月期通期に米国の医療用医薬品の売上高(5167億円)が初めて日本の売上高(5047億円)を上回っている。潰瘍性大腸炎・クローン病治療薬「エンティビオ」などが好調で、米国の売上高を押し上げた。日米の差は拡大傾向にあり、この4~6月期にはその差は6%超に広がっている。

グローバル展開を優先し国内の経営資源を取捨選択する武田に対し、後発薬や特許切れ薬を含め全方位で国内ナンバー1を目指す第一三共。両社の戦略の違いは明確だ。

それでもそれぞれに2千人超の医薬情報担当者(MR)を抱える。彼らの士気を保つためにも国内トップの看板にこだわりを持つのは重要との声も根強い。

ただ、グローバルな競争に目を向ければ、連結売上高でトップの武田であっても、全世界の売上高ランキングでは20位前後。第一三共の17年3月期の海外売上高は武田の3分の1だ。世界市場を相手に勝負できる新薬の開発に全力を注ぐという経営の最優先事項は変わらない。

(戸田健太郎)

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