有機ELテレビ、ソニーが10年ぶり国内参入

2017/5/8 11:32
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ソニーは8日、有機ELテレビを6月10日に国内で発売すると発表した。「ブラビアA1シリーズ」で、独自の画像処理エンジンと音響技術により画面から音が出るようにした。市場推定価格は65インチが税別80万円前後、55インチが税別50万円前後。有機ELテレビは韓国LG電子がいち早く国内で発売して市場を切り開いてきたが、東芝パナソニックなど国内勢も相次ぎ参入。液晶テレビに続く選択肢となり、競争が激しくなりそうだ。

ソニーは画面から音が出る有機ELテレビを6月に発売する(8日、都内)

8日午前に都内で開かれた発表会で、ソニー執行役EVPでソニービジュアルプロダクツの高木一郎社長は「従来の液晶テレビでは不可能だった新たなたたずまいと視聴体験を提供していく」と語った。有機ELテレビは細かな画素のもととなる発光材料が自ら光る技術を用いている。液晶より薄いため振動しやすいという特長を生かし、振動で画面から音が出るようにした。

スピーカー部分が不要なためシンプルなデザインで、高精細な4Kと高輝度のハイダイナミックレンジを融合させた「4K HDR」にも対応。「残像感がなく没入できるため、スポーツや映画などコンテンツをとことん楽しみたい人には液晶ではなく有機ELを選んでほしい」(高木社長)

ソニーの有機ELテレビには、挫折も含めた歴史がある。2001年に試作機を開発し、07年には世界で初めて11型の有機ELテレビを発売。だが販売が振るわず中止しており、今回は10年ぶりの再参入だ。

国内市場をみると、これまではLG製品のみだったが3月に東芝が参入し、パナソニックも展開を計画するなど「有機ELテレビ元年」(家電量販店幹部)の様相を呈してきた。認知度の高まりとともに競争環境は激しくなりつつある。ソニーマーケティングの河野弘社長は「家電量販店では専用コーナーで登場感のある売り場作りを提案したい」と意気込む。LGも近く薄さ3.9ミリメートルで壁に掛けられる新製品を発売する予定で、李仁奎(イ・インギュ)日本法人社長は17年の国内販売台数を16年比2倍に増やす強気な計画を掲げている。

ただ有機ELテレビのテレビ市場に占める割合はまだ約1%(金額ベース)。動画配信サービスやスマートフォン(スマホ)、タブレットの普及で映像を見る手段はテレビだけではなくなった。テレビの優位性が低下するなか、消費者がどれだけ画面の高画質を求めるかがカギを握る。

ソニーに勝算はある。ソニーはブラビアを米グーグルのOS「アンドロイド」に対応させ、約7割がネットコンテンツを楽しんでいるという。ネット接続したブラビアの平均視聴時間は月10時間長いという調査結果もある。「豊富なネットコンテンツや映画こそ、迫力がある大画面の有機ELでより一層楽しめる」(高木社長)

ソニーのテレビ事業は高付加価値路線に転換したことで14年度に11期ぶりに黒字化し、安定的に収益を稼ぐようになった。「画面から音」というソニーの新たな挑戦が消費者に受け入れられるかどうかが、テレビ事業の安定から成長へのシフトを左右しそうだ。

(中藤玲)

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