/

タクシー代前決め、相乗りへ布石 実験スタート

タクシーの運賃と目的地を乗車前に確定する実証実験が7日東京都内で始まった。タクシー業界が初乗り410円の実験を始めたのがちょうど1年前。日本にもやがて本格上陸するライドシェアへの対抗意識が、岩盤といわれた規制と業界の常識を次々に溶かしていく。日本のタクシー業界はどこまで変われるか。

乗車前に料金がわかる配車アプリの実証実験(7日午前、東京都千代田区)

「降りるまでいくらかかるかわからないという利用者の不安をようやく解消できる」。7日に開いた出発式で、日本交通の川鍋一朗会長は力を込めた。乗車前に運賃を決めるというのはどんなサービスなのか。同日午前、実際に「前決め」のタクシーに乗ってみた。

出発地は東京・丸の内。高層オフィス街で日本交通の配車アプリを開くと、すでに現在地が表示されていた。ためしに到着地として新宿の都庁を指定してみた。「3500円・23分」と表示され、画面の配車依頼ボタンを押すと、約3分後にタクシーがやってきた。

滑り出しは順調だったものの、週初めということもあり交通量は多めだ。特に混雑が激しい新宿御苑のトンネルは迂回して進んだ。目的地に着くと運転手の男性(41)は「金額を気にせず最も速いルートを選べた」と話した。いつもは走行距離が伸びてしまわないように、時間がかかるとわかっていても迂回するか迷うという。この日は回り道をしたため通常なら事前に決めた3500円を上回った可能性が高いが、もちろん追加料金は発生しない。

昨夏の実証実験を経て、今年1月に始まった「初乗り410円」は利用者の裾野を広げ、長距離を含めた大手各社の営業収入を7%押し上げた。この成功体験が変わることに及び腰だったタクシー業界の背中を押す。今回は「410円」に続く運賃改革第2弾。東京都港区の会社員、山田香織さん(33)は「道を間違えて遠回りされる不安がなくなる」と期待する。

「ライドシェアの良いところをタクシーにも取り入れていきたい」(川鍋氏)。業界を運賃改革に走らせているのは世界で拡大するライドシェアへの強い危機感だ。ただでさえタクシーの輸送人員はこの10年で3割近く減っている。

運賃の前決めはタクシー大手が対ライドシェアの切り札として位置づける「相乗りタクシー」へのステップでもある。知らない客同士が運賃を負担し合う仕組みで、今年度中にも実証実験を始める考えだ。それぞれの乗客の負担は距離に応じて事前に決める必要があり、今回の前決めの仕組みがカギになる。

課題はある。運賃前決めの実験対象は迎車料金を含め3千円以上の利用に限られ、条件となるアプリで配車を依頼する人の比率もまだわずかだ。まずはこれをどう広げていくか。

運賃の前決めも相乗りも世界では米ウーバーテクノロジーズなどのライドシェア勢がすでに実現している。日本のタクシー業界に立ち止まっている時間はない。(清水孝輔)

初割ですべての記事が読み放題
今なら2カ月無料!

関連企業・業界

業界:

セレクション

トレンドウオッチ

新着

ビジネス

暮らし

ゆとり

新着

ビジネス

暮らし

ゆとり

新着

ビジネス

暮らし

ゆとり

フォローする
有料会員の方のみご利用になれます。気になる連載・コラム・キーワードをフォローすると、「Myニュース」でまとめよみができます。
新規会員登録ログイン
記事を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した記事はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
新規会員登録ログイン