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伊藤忠、まだ見えぬ「相乗効果」 CITICとの協業急ぐ

伊藤忠商事が6日、大手総合商社で先陣を切り、2016年3月期の連結決算を発表した。前の期比で1割増を予想していた純利益は2403億円となり一転、2割減に。資源分野に加え、過去に買収した食品事業などで減損損失が発生した。業界首位の座を確実にしたとはいえ、得意の「非資源」でも投資額に見合った果実を得るハードルは高いことが浮き彫りになった。その課題は15年に出資した中国国有複合企業との戦略提携にも横たわる。

配当性向引き上げ求める

「岡藤さんは純利益の取り込みと配当だけで満足しているのだろうか」。ある証券アナリストは伊藤忠の岡藤正広社長の真意を探りあぐねている。15年にタイ財閥のチャロン・ポカパン(CP)グループと折半して1兆2000億円を投じた中国中信集団(CITIC)との資本・業務提携のことだ。

CITIC関連で得た利益はそれなりに大きい。15年10~12月期に持ち分法適用会社となり、16年3月期は404億円を利益計上した。CITICの前期の配当性向は約2割。伊藤忠とCPグループは「配当性向をもっと引き上げてほしい」と要求している。17年3月期はCITICの業績1年分が丸ごと反映されることもあり、700億円以上の利益を取り込める見込みだ。

ただ、伊藤忠は純投資が目的でCITICに資本参加したわけではない。狙うのは当然、事業上の相乗効果だ。中国での商業施設開発、ブランドビジネス、医療・健康関連事業、自動車、インフラ……。CITICへの出資で合意したときの発表資料には相乗効果を狙う事業分野がびっしりと並ぶ。

しかし、いまのところまとまった提携事業でめぼしいものは中国・上海で計画しているインターネット通販事業や、香港に上場する中国アパレル大手の波司登(ボストン)への製品供給などに限られる。

「自分の代でメドつける」

岡藤社長は今年の春に後進に道を譲るとの見方もあったが、その前の1月に続投を社内で宣言した。「眼前の課題は自分の代でメドをつけないといけない」と判断したためだ。その課題のひとつがCITIC、CPグループとの中国・アジアでの提携拡大なのだ。

前期決算では13年に米青果物大手ドール・フード・カンパニーから買収したアジア事業などでも減損損失を計上した。当時思いえがいていた通りに事業拡大が進まなかったのが原因だ。市況に左右されにくいといわれる非資源分野でも見込んでいた成長を実現できなければ減損に追い込まれるのである。

伊藤忠は17年3月期の純利益を前期比46%増の3500億円と見込み、首位定着を狙う。この発表を受けて6日の伊藤忠の株価はいったん上昇したが、2日終値比10円50銭安(0.8%安)の1344円で引けた。ある証券アナリストは「株式市場の期待値は高い。会社側の予想はコンセンサスにすぎず、それ以上の業績を出せなければ、株価の一段の成長は見込めない。そのためにはCITICの相乗効果を売上総利益に効くような形で示さなければならない」と指摘する。

「今上期中にCITICと取り組む案件が具体化してくるだろう」。6日の決算記者会見で岡藤社長はこう語った。協業案件を仕込むだけの時期から、幅広い成果を内外に示すべき時期が来ている。伊藤忠にとってまさに勝負の年となる。

(鷺森弘)

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