太陽光再生、起点はテスラ 見本市で家庭用「売電から自給へ」

2017/7/5 22:16
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太陽光発電の国内最大級の見本市「PV Japan」が5日、横浜市内で開幕した。目玉の一つが米テスラの出展だ。日本の太陽光市場は固定価格買い取り制度の機能不全で低迷が続く。自動車のほかエネルギー分野でも世界の産業秩序を壊しつつあるテスラの上陸は、日本市場再生の起爆剤になるか。

太陽光パネルが立ち並ぶ見本市会場のど真ん中。電気自動車(EV)が置かれたテスラのブースには終日、人だかりができていた。ブースを訪れた大手電機メーカーの担当者が驚いたのはテスラが提示した家庭用蓄電池の価格だ。販売時期は未定だが、予定価格は約70万円。国内で現在普及する製品の4分の1の水準になる。

住宅などの屋根に取り付けた太陽光発電が機能するのは日中のみ。雨の日や夜間に家庭の電力を賄うには蓄電池が欠かせない。テスラの説明員は「太陽光発電を自家消費や地産地消のために使う動きが日本でも始まる」と話した。

米国ではエネルギー分野でもテスラの存在感が高まっている。昨年は太陽光パネルメーカーのソーラーシティを買収。EVと太陽光、蓄電池のセット売りで攻勢をかける。太陽光や蓄電池は環境意識の高いユーザーが多い点でEVに近い商品だ。EVの本格普及後に、充電の時間帯が集中し電力不足を引き起こすリスクも蓄電池があれば緩和できる。

3つの商品をEVの販売店で直販するのもテスラの特徴。機器の設置工事はソーラーシティの社員が担当する。無駄なコストを徹底して省き、蓄電池の価格を米国の競合品と比べ半分以下に抑えた。デザインにこだわった太陽光パネルは投資回収に約10年かかる価格設定ながら、予約が殺到し今注文しても納入は来年以降という。

一方、日本市場は個人の需要がけん引する米国とまったく違う景色になっている。その原因が2012年に始まった太陽光による電力を一定価格で買い取る制度。高い価格が設定され、売電目当てのメガソーラーが急増した。パネルの市場は急拡大したが、一般家庭や工場、ビルの自家消費向けの需要の開拓が遅れるゆがみが生じた。

その後、制度への批判が高まり買い取り価格が下落。発電所の設置基準も厳しくなり、市場は一気に冷え込んだ。16年は米国や中国、欧州など世界の主要国が軒並み成長するなか日本だけが前年割れ。太陽光発電協会の増川武昭事務局長は「20年ぐらいまで下降トレンドは続く」と話す。

世界を追いかけるには政策頼みでない地道な需要の開拓が欠かせない。見本市では三菱電機が自家消費用にEVの蓄電池を使うシステムを提案。京セラは太陽光で発電した電気の需給を効率的に調整するシステムを展示した。

テスラが運営する日本の店舗は東京、大阪など6カ所のみ。蓄電池や太陽光の販売を広げるにはまだ手薄な体制だ。しかしテスラが本気で開拓に乗り出せば市場の再生にも弾みが付く。そのためにも買い取り制度に依存しない市場環境の構築を急ぐ必要がある。

(福本裕貴、シリコンバレー=兼松雄一郎)

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