麺業界で明暗、幸楽苑10月減収 リンガーハットは増資
「麺」業界内で明暗を分ける発表が4日あった。ラーメンチェーン大手の幸楽苑ホールディングスは10月の既存店売上高が前年同月比6.4%減だったと発表。静岡県の店舗で提供したラーメンに指の一部が混入した問題が影響したのは明らかだ。そんな失速企業を横目に拡大策を公表したのが長崎ちゃんぽん専門店のリンガーハット。公募増資などで約98億円を調達し、新規出店などの費用に充てるという。
幸楽苑の10月の客数は既存店ベースで6.6%減った。全店でみると売上高、客数ともに6.8%減。「(問題が発覚する前の)10月上旬時点では売上高は前年実績を上回るペースで推移していた」(同社)というから、異物混入の影響は大きかったようだ。
同社では今回のトラブルの原因となった「チャーシュースライサー」を全店から順次撤去。10月下旬には全店を休業して従業員への安全教育を実施したほか、役員報酬の減額も発表している。
そもそも消費低迷の逆風を受けている麺業界。ラーメンチェーン大手のハイデイ日高が4日発表した10月の既存店売上高も前年同月比1.4%減、客数は2.5%減と前年割れだった。それでも幸楽苑の落ち込みぶりは鮮明だ。
こうした中で攻めの姿勢を打ち出したのがリンガーハットだ。国産野菜をたっぷりと使ったメニューでファミリー層や女性客などに客層を広げ、10月のリンガーハットの既存店売上高は前年同月比6.1%増とプラスを確保した。2017年2月期の連結純利益は前期比1割増と3期連続で過去最高益を見込む。
4日には公募増資などで約98億円を調達すると発表。調達した資金を元手に、今後2年間で国内でちゃんぽん店71店舗を新規出店するほか、海外事業の強化のためにグループ会社への投融資を拡大する。
最近はうどんチェーンも勢いを増して競争が激しさを増す麺業界。生き残りをかけた闘いはますます熱を帯びそうだ。
(岸本まりみ、富田美緒)