トーハン、雑誌の売上高5%減 16年3月期
トーハンが3日発表した2016年3月期決算は、売上高が前の期比1.5%減の4737億円、経常利益は同4.9%減の38億円だった。書籍や文具が増加したものの、雑誌の落ち込みを補えなかった。同社は八重洲ブックセンター(東京・中央)への出資も決めている。書店経営にも関わることで販売のてこ入れを図る。
雑誌の売上高は同5.4%減の1702億円。コンビニでの販売が落ち込んだほか、女性向けファッション誌が不調だった。コミックは同0.2%減の567億円で、人気作品の終了が影響した。書籍は芥川賞受賞作「火花」がヒットしたほか児童書や趣味実用書が好調で、同1.2%増の1845億円だった。
記者会見で川上浩明専務は「今後も雑誌は厳しく、配送分野で他社と協力していかなければいけない」と語った。
マルチメディア商品の売上高は同0.4%増の621億円。低迷したCDやDVDの落ち込みを、文具や付録付き出版物の販売増加が補った。前年度から始めた定番文具コーナーを導入した書店は159店あり、累計246店となった。
トーハンは八重洲ブックセンターの運営に参画すると発表した。全株式を持つ鹿島グループから発行済み株式の49%を取得する。7月1日にトーハンの山崎厚男元会長が八重洲ブックセンターの社長に就任する。書店運営のノウハウをもつトーハンが経営を主導して業績を改善する。
八重洲ブックセンターは関東に12店舗の書店を運営し、鹿島が1978年に本社を移転した際に本社跡地に開店した。東京駅八重洲口にある本店はサラリーマンが多く通い、同店の販売ランキングは出版物の売れ行きの指標にも使われる。