2019年9月20日(金)

全日空、日航越え新たなライバル 国際線就航30年

2016/3/4 0:07
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全日本空輸が国際線に参入し、3日で30年となった。路線網は海外39都市に広がり、旅客数と飛行距離を掛け合わせた2015年度の旅客輸送実績は日本航空を抜く見通しだ。ただ、訪日外国人客の増加で航空券販売は海外に主戦場が移り、日航と競り合うだけの時代は終わった。一段の成長には中東などの新興勢力を含む海外勢との競争に勝ち抜く必要がある。

3日、成田空港で開いたイベントで篠辺修社長は「国際線に出たばかりのころは機内サービスも未熟で(旅客に)叱られてばかりだった。それでもここまで来られたのは成長に期待し、辛抱強く利用してくれた旅客のおかげだ」と振り返った。

1972年の大臣通達に伴い、日本では長く航空大手に国際線と国内線ですみ分けがあった。航空会社の役割分担を巡る国の指針の撤廃を受け、日航1社が独占してきた国際定期便に全日空が進出したのが86年だった。

初めて黒字を確保できたのは参入19年目の04年度。社内にはこの間、何度も撤退論が浮上したという。逆風下でも国際線を維持・拡大できたのはサービス品質への旅客の支持があったからだ。

参入から30年、日本人が中心だった国際線の旅客は様変わりした。訪日客の急増を受け、全日空の国際線に占める海外発旅客の比率は49%まで高まっている。日本人の海外旅行客を日航と奪い合うという構図はもはや過去のものだ。

海外で航空券を販売するなか、ネックとなっているのは「ANA」のブランド認知度の低さだ。マレーシアなど就航まもない地域では「格安航空会社(LCC)と間違われることもしばしば」。比較的ブランドが浸透しているシンガポールなどでも稼ぎが大きい現地企業の出張需要はシンガポール航空など現地の航空大手に握られたままだ。

海外で旅客獲得に競り勝つにはきめ細かくニーズをくみ取る体制作りが欠かせない。シンガポール駐在の海外営業担当者は「アジアは国ごとに食文化や宗教観は異なる。特別機内食の品ぞろえをとってみても全日空はまだまだ海外勢に見劣りしている」と話す。

環太平洋経済連携協定(TPP)の発効をにらみ、全日空は成田をハブ(拠点)空港にアジアと北米を行き来する乗り継ぎ需要の取り込みにも力を入れている。強力なライバルとなりそうなのがアラブ首長国連邦(UAE)ドバイのエミレーツ航空など低運賃を強みとする中東勢だ。

アジアと欧州を結ぶ路線で中東勢と張り合う欧州航空大手は原油安の恩恵を受けながらも業績回復が遅れている。自国政府による巨額支援の噂が絶えない中東勢には「公正な競争環境をゆがめている」(欧米航空大手)との批判もある。全日空はこうした新勢力とも競争しながら、成長と収益性向上の両立という課題に向き合うことになる。(白石武志)

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