伊藤忠CFO「会計処理はすべて適切」 米運用会社の指摘に反論

2016/8/2 15:13
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空売り専門の米運用会社グラウカス・リサーチ・グループが伊藤忠商事の会計処理に疑問を呈したリポートについて、伊藤忠の鉢村剛・最高財務責任者(CFO)は2日、「会計監査を担当するトーマツなどから複数意見を聞き、すべての会計について適正意見を得ている」と説明した。そのうえで「処理はすべて適正だ」と強調した。

2016年4~6月期の決算発表の記者会見で答えた。グラウカスは7月末に発表したリポートで、伊藤忠の会計処理について主に3つを問題に挙げている。

1つ目では、伊藤忠が南米のコロンビアの資源権益を持ち分法投資先から外し、1531億円の減損損失を回避したと主張している。これについて鉢村CFOは「減損テストを毎年やっており、適正に評価をしている」と反論。資源事業の環境悪化もあり、リスク資産を増やさないように「追加の投資の要請に応じなかったため、持ち分の権利がなくなった」と話した。

2つ目は中国最大の国有複合企業、中国中信集団(CITIC)への投資だ。伊藤忠は15年にタイ最大財閥チャロン・ポカパン(CP)と1兆2000億円を投じ、CITICグループの中核企業に2割を出資した。グラウカスは「CITICは大株主である中国政府の支配下にあり、伊藤忠は重要な影響力を持たず、持ち分法は適用できない」と主張していた。

これに対して鉢村CFOは「中国国有企業の国際化を図るため、中国政府は民間企業の出資を受け入れた。伊藤忠とCPは中国政府側と協議をした結果として20%の出資が認められた」と説明した。「取締役を派遣する権利も有しており、議決権を行使できる状態だ」と強調した。

3つ目としてグラウカスは持ち分法適用会社である中国食品・流通大手の頂新グループの持ち株会社を伊藤忠が15年3月期に連結対象から外した会計処理を取り上げている。鉢村CFOは「ビジネス戦略を考慮し、長期間の議論を経て連結対象から外すことを決めた」と解説。手続きに問題がないことを改めて主張した。

鉢村CFOはさらに「グラウカスのリポートの免責事項に内容は『見解を表したもので、事実の提示ではない』とある。事実に基づかずに特定の見解で株価を下落させようとするものだ」と指摘。「法的対応も選択肢の1つだ」と主張した。

グラウカスは企業の財務情報などを調べ、当該企業の株を空売りしたうえで、グラウカスが問題と考える項目を指摘したリポートを出す。リポートを受けて株価が下がれば買い戻して利益を確定する。海外で活動していたが、日本企業を対象にしたリポートを出すのは初めて。(渡辺伸)

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