2018年7月19日(木)

ミドリムシ燃料を20年実用化 ユーグレナ、航空機向け
年125キロリットル、全日空・いすゞと連携

2015/12/1 21:10
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 ユーグレナは藻の一種のミドリムシからつくる航空機向け燃料を2020年までに実用化する。1日、ミドリムシから搾った油を燃料に精製する国内初の設備を横浜市に建設すると発表した。藻を原料とするバイオ燃料は環境負荷の抑制につながるため、大手企業も研究を始めている。クリーンエネルギーは世界の空に羽ばたけるのか。

国産バイオ燃料計画の始動を発表し、記念写真に納まるユーグレナの出雲社長(左)と全日空の殿元専務取締役執行役員(1日午後、羽田空港)

国産バイオ燃料計画の始動を発表し、記念写真に納まるユーグレナの出雲社長(左)と全日空の殿元専務取締役執行役員(1日午後、羽田空港)

 「これが飛行機にそのまま入れられるミドリムシからつくったジェット燃料です」。羽田空港で開いた記者会見。ユーグレナの出雲充社長は小瓶を掲げた。ミドリムシから搾った油を米国で精製した液体の組成は石油を原料とするジェット燃料のケロシンと同じだ。

 精製設備は18年前半の稼働を予定。米石油大手のシェブロンから技術供与を受け、ジェット燃料の認証を取得できる実証プラントにする。投資額は約30億円。年間125キロリットルを燃料をつくる計画だ。設備の建設や燃料の実用化、原料の調達で千代田化工建設、全日本空輸、いすゞ自動車、伊藤忠エネクスと連携する。

 記者会見で全日空の殿元清司専務は「実証プラントでつくる燃料を混合し、実際のフライトで使う」と述べた。すべての燃料を航空機に振り向ければ、10%の割合で混合する場合、羽田―大阪国際(伊丹)空港間を毎週1往復できるという。

 「革新的技術で世界に貢献する」。出雲社長の念頭にあるのは国際民間航空機関(ICAO)の環境目標だ。20年以降、二酸化炭素(CO2)の排出量を増やさないためにはどうするか。生育段階でCO2を吸収する植物を原料とするため、燃やしてもCO2の総量が増えないことになるバイオ燃料は注目を集める。

 実用化への最大の課題は石油由来のジェット燃料の10倍程度とされる価格をどう下げるか。高価なままでは航空会社にとっては負担がかさむことになり、航空運賃に跳ね返る懸念もある。

 実証設備での精製コストについて、1日の記者会見では明らかにしなかった。商用段階では「既存の化石燃料由来のジェット燃料と競争力のある価格を目指す」という出雲社長は20年以降、一気に量産体制を敷く構想を描く。実証設備の400倍以上の規模の商用プラントを建設し、ミドリムシの培養でも海外に大規模な拠点を設ける方向で検討している。

 民間調査会社の富士経済(東京・中央)の試算によると、30年の航空機向けバイオ燃料の世界需要は11兆8808億円と12年の16倍に膨らむ見通しだ。巨大な市場に商機を探るのはユーグレナだけではない。IHIやJパワー、DICなども藻の培養技術の研究を進めている。ただ、精製設備の建設に踏み出すユーグレナが一歩抜きんでていることは間違いない。

 ユーグレナのプラントはミドリムシ以外の藻から搾った油や食用油の廃油でもバイオ燃料を精製できる。単独で確保できるミドリムシの量がバイオ燃料の安定供給には心もとないためだ。他社が研究する藻の油も原料に取り込み、「オールジャパンのバイオジェット燃料にする」。出雲社長は期待を込める。

(庄司容子)

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