ドル高でフィリピン人出稼ぎ労働者の送金急増
■フィリピン中央銀行 フィリピン人の海外出稼ぎ労働者による2016年11月の母国への送金額が前年同月比18.5%増の22億ドル(約2500億円)になったと発表した。米国の景気回復を受け、08年7月以来の最速ペースで伸びた。
中銀は送金拡大の背景を「米国をはじめとする世界経済の回復」である可能性を示唆した。
専門家によると、海外出稼ぎのフィリピン人は、フィリピンペソに対して米ドルが上昇すると受け取る側に為替差益をもたらすため、母国への仕送りを増やす傾向があると指摘する。ペソの対米ドルレートは12月に10年来の低水準にまで落ちこんだ。米連邦準備理事会(FRB)による利上げ実施を受けて、投資家が新興国市場から逃避したことが背景にある。
16年の11カ月間の送金額は243億4000万ドルに及び、年間の送金額はフィリピン中銀が目標とする263億ドルに達する見込み。今年は送金額が277億ドルになると中銀は見込んでいる。
海外で暮らす約1000万人のフィリピン人からの送金はフィリピン経済の重要な柱だ。海外からの送金は同国最大のドルの獲得源であり、外貨準備の底上げに寄与している。同国経済が頼みとする消費の促進にも役立っている。
米国、サウジアラビア、アラブ首長国連邦(UAE)、シンガポール、英国、日本、カタール、クウェート、香港、ドイツといった10カ国・地域からの送金が全体の80%以上を占める。(マニラ=ミカエル・フローレス)