2019年1月18日(金)

トヨタ、タイで開発「自立」 技術者1400人体制に

2015/10/6 2:00
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日本の自動車各社がタイで開発の「自立」に動き出した。トヨタ自動車は5日、タイの開発拠点を初めて報道陣に公開し、技術者を1400人まで増やしたことを明らかにした。三菱自動車は海外初のテストコースを開設して開発機能を高める。タイは日系メーカーが計8割超のシェアを握り、各社は新興国の中核拠点に位置付けている。ただ世界戦略の一翼を担うには、人材育成などの課題を乗り越える必要がある。

トヨタ自動車のタイの研究開発拠点では、樹脂部品の耐熱性試験など充実した試験設備が整う(中部サムットプラカーン県)

トヨタ自動車のタイの研究開発拠点では、樹脂部品の耐熱性試験など充実した試験設備が整う(中部サムットプラカーン県)

「3次元(3D)シミュレーターで設計し、分析、評価まで私たちが100%担当しました」。トヨタが5日にバンコク郊外で開いた説明会。5月に発売した新興国戦略車「IMV」でワイヤハーネス(組み電線)を設計したタイ人社員は説明した。100以上の国・地域に輸出するピックアップトラックでタイ拠点は設計図の作製や車両評価の4割を担当した。

同社は米欧に続き、2003年にタイに開発拠点を開設した。その後、生産支援や調達などを担当する部門と統合し、07年に現在の体制に。生産準備などに携わる人員を含む技術者は1400人に達し、このうち半数程度が開発を担当しているもようだ。過去10年間で2倍以上に増やした。

■HV制御ソフト

新興国向けだけでなく、全世界で販売する車両の開発の一翼も担い始めた。ハイブリッド車(HV)では制御ソフトの一部を開発し「世界で販売したHVの52%に搭載している」(担当者)。圧縮天然ガス(CNG)車の試験やエンジン部品などに使う棒材の評価もタイが中心だ。

1964年に現地生産を始めたタイは取引先の部品メーカーの進出が最も進んだ地域のひとつ。「部品メーカーと協業しやすいのはタイの強み」(トヨタ幹部)とみており、5日の説明会で技術担当の奥平総一郎専務役員は「アジアに加え南米やアフリカを含む南半球全体を対象とした開発を進めていく」と語った。

東南アジア最大の自動車生産国であり、日本メーカーが8割超の販売シェアを握るタイではライバルも開発強化に力を入れる。三菱自は5月、5億バーツ(約17億円)を投じ、中部チョンブリ県に日本以外で初となるテストコースを設置した。タイや東南アジアだけでなく全世界の車両向けの走行実験の拠点とする。

日本メーカーでいち早くタイに開発拠点を置いたいすゞ自動車も体制強化に動いている。タイ拠点の主導によりトラックの車体を開発し、18年3月期までに東南アジアで発売する。従来、新興国で販売するトラックは日本向けを微調整していたが、企画から開発・生産をすべて現地で手掛けて、コストを減らす。

トヨタで新興国戦略車の開発責任者を務め、現在はタイ子会社の上級副社長を務める則武義典氏は、「現地から開発責任者が出れば求心力も高まる。IMVなどの開発責任者を育てたい」と目標を語る。トヨタ幹部も「タイにも国内の車体メーカーのような役割を担ってほしい」と話す。

■人材確保には壁

ただタイで車体などの開発を担うには課題もある。「もともと理工系人材の層が薄く、欧米や中国メーカーと争奪する構図もはっきりとしてきた」とある日系メーカーの幹部は指摘する。またトヨタの現地幹部は「現在は日本の下請けのような仕事が少なくない。自分で考えて動く人材の育成が必要だが、時間がかかる」と漏らしている。

トヨタの開発の現地化では北米が先行し、77年に拠点を開設した。だが、現地から車体の開発責任者が生まれたのは09年で30年超を要した。年間販売台数が1000万を超え、豊田章男社長は「持続的成長のためにはこれまでの仕事の進め方を抜本的に見直す必要がある」と話す。新たな環境下で進めるタイの自立は時間との競争でもある。

(バンコク=奥平和行、ムンバイ=堀田隆文)

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