2017年11月18日(土)

バイト時給1000円時代 外食・運輸で人手不足深刻
9月、初の大台

2016/10/19 21:35
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 アルバイトやパートの時給が上昇している。民間の調査で、9月の全国の平均時給が初めて1千円の大台を超えた。10月の最低賃金引き上げを控えて条件を見直す動きが目立った。同月の社会保険の適用拡大も人手不足に拍車をかけており、かき入れ時の年末を控えた採用競争が激しさを増している。賃上げによる人件費増で企業負担は一層増えそうだ。

 求人サービス大手のインテリジェンスが19日まとめた9月の募集時平均時給(全国)は1003円だった。調査を始めた2002年以来、初めて1千円の大台に乗った。

 前年同月と比べた伸び率は2.6%と13年以降で最も大きい。同社の求人サービス「an」編集長の上土達哉氏は「10月と予想していた1千円乗せが1カ月早まった」と話す。

 寄与度の大きい外食の時給上昇が平均額を押し上げた。

 特に人手の確保が難しいのが居酒屋の店員だ。平均時給は前年同月比3.9%増の997円と飲食全体の1.6%を大きく上回り、上昇をけん引した。同じく不足が深刻な運輸職の平均時給は1094円と前年同月比5%上昇した。

 求人サイト運営のディップも「飲食大手が夏休み中の大学生をターゲットとした案件を増やし、特に飲食業で時給が上昇している」と指摘する。

 10月に実施した最低賃金の引き上げが時給を底上げしている。上げ幅は全国平均25円と過去最大となった。スーパーなどが9月の段階で新しい最低賃金に合わせた時給を導入し、平均額を押し上げた。

 9月時点でanの募集案件のうち10%が10月以降の最低賃金を下回る。最低賃金の反映で10月は一段の時給上昇が見込まれる。

 企業は時給引き上げによる人材の確保を急いでいる。

 ゼンショーホールディングスの牛丼店「すき家」は、アルバイトの募集時給額を11月から引き上げる。多くの店で、前月と比べて10~20円ほど上がる見込みだ。

 デフレ再燃が指摘されるなか、賃上げ分を商品価格に転嫁するハードルは高い。日本総合研究所の山田久チーフエコノミストは「時給上昇は経済全体で見ればプラス」とした上で「賃上げできる体力があるかどうかで、企業間の格差が広がる可能性がある」と指摘する。

 ラーメン店「日高屋」を展開するハイデイ日高の島需一取締役は「アルバイトの時給は上がっており、今後は利益の圧迫要因になる」と話す。吉野家ホールディングスの河村泰貴社長も外食の人手不足の深刻化で「時給や新規採用のコストが上がっている」と懸念する。

 人手不足は製造業も非製造業も共通の問題だ。とりわけ平均賃金が製造業より低い流通業で深刻になっている。

 三菱総研の武田洋子チーフエコノミストは「IT活用で生産性を上げて賃金を持続的に上げるビジネスモデルをつくるのと、就労抑制につながっている税制や社会保険の仕組みを政府が見直す両面の対策が必要だ」と指摘する。

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