ブランド農産物、知財保護 自治体、海外で品種登録へ

2017/7/7 21:57
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イチゴなど国際的なブランド農産物の価格戦略で、知的財産の保護が重要になってきた。日本は海外でも高値販売できる有力ブランド品目を多く擁するが、海外で模倣されるケースが少なくない。ブランドを維持するため、政府や各地の自治体は果物やコメなどで知財の保護を強化している。

福岡県は現在、中国や韓国に対して果物分野での種苗の品種登録を準備している。これまでイチゴの代表品種「あまおう」について2010年に中国、15年には韓国で品種登録した。外国で品種登録すると、無断で栽培された場合に差し止めや損害賠償を請求できる。

農林水産省は、イチゴ品種が韓国に流出したため5年間で最大220億円の逸失利益があったと推計した。韓国のイチゴ栽培は9割以上が日本品種をもとに開発されたという。栃木県が育成した「とちおとめ」は韓国で交配され、「錦香(クムヒャン)」という品種で出回っている。

もし韓国で権利を取得していれば日本側がロイヤルティー収入を得ていた可能性がある。さらに現地で栽培されたイチゴは海外市場でも売られ、日本は輸出機会も失った。日本貿易振興機構(ジェトロ)によると、香港の店頭での輸入イチゴは日本産が1パック最大約6千円で、韓国産は同2700円と半額以下だ。甘みと安値を武器に韓国産は東南アジアのスーパーにも攻勢をかける。

政府は外国での品種登録を促すため、出願経費を支援し始めた。16年度の補正予算で3億円、17年度当初予算で8300万円を充てた。現在は約150品種の種苗について、それぞれ2~3カ国ずつ出願準備している。

北海道も複数の農産物を対象に海外で品種登録できるよう手続きを進める。コメの「ゆめぴりか」や長芋などが道産の輸出品として有力だ。「新興国で同じものを栽培されたら優位性が失われるので、必要に応じ保護したい」(北海道立総合研究機構)

ただ課題も多い。栃木県は「もし海外で品種登録しても現地での不法な栽培を見つけにくい。さらに立証・差し押さえの手順を踏むのは現実的に困難」(県担当者)。同県はひとまず、ブランド農産物の名称を守ることに注力する。イチゴのスカイベリーは現在、インドネシアなど東南アジア諸国で商標を取ろうと準備している。ブランド名を勝手に使う事例なら、ネット上の情報でも発見しやすいとの判断だ。

ブランド保護は大枠で合意した日欧経済連携協定(EPA)でも対象になった。ブランド名を守る地理的表示保護制度(GI)では、例えば日本以外で造った酒は、日本酒とは欧州で名乗れなくなる。ただ、「真野鶴」で有名な尾畑酒造(新潟県佐渡市)の平島健社長は「通称のSAKEが日本酒だと理解している外国人は少ないので、北米産SAKEとの競合は続く」とみている。

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