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カープ流経営学 「選手は家族同然」
ルポ迫真(3)

2016/10/14 6:30
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東京都内のホテルで開かれた2011年のプロ野球のドラフト会議。控室で各球団の動向を固唾をのんで見守っていた広島の東海地区担当スカウト、松本有史(39)は「お願いだから、どこも指名しないでくれ」と心の底から念じていた。

一度は離れた黒田(手前)と新井が奮闘した(9月10日、東京ドーム)=共同

一度は離れた黒田(手前)と新井が奮闘した(9月10日、東京ドーム)=共同

1位で野村祐輔(明大)を指名した広島が2位で狙っていたのは中京学院大の菊池涼介。中央では知名度が低い岐阜のリーグの選手で身長171センチと小柄。ただ中堅に抜けそうなゴロに飛びつき、膝をついたまま一塁へ送球する姿はまるで忍者のようで打撃はパンチ力十分。松本はその能力にほれ込んだ。

日本ハムやオリックスが上位指名を検討しているとの情報もあったから、気が気ではなかった。幸い指名する球団はなく無事に交渉権を獲得。松本は「助かった」と胸をなで下ろした。

広島のドラフト戦略ははっきりしている。1位で即戦力投手を狙う一方で、2位以下は粗削りでも将来性豊かな野手に重きを置く。菊池(26)のほか、丸佳浩(27)、鈴木誠也(22)らチームの中心を担った野手もこうした戦略に沿ったスカウト活動の中で見いだされてきた。

大学1年時から菊池を追っていた松本は「球界を代表する内野手になる」と確信していた。「3位でもいい」との意見もある中、独自編集の映像を見せ「野村を競合で外したら外れ1位で行ってくれ」と猛アピール。上層部を納得させた。

こうした将来の有望株を見定める上で、役立ったのは風通しの良い球団の体質だ。年6回ほどのスカウト会議に毎回、オーナーの松田元(65)も出席。熱心にメモを取りながら、松本のような2回り以上も若いスカウトからの報告に耳を傾ける。

広島のスカウトは入団後も担当した選手に電話やメールをしたり、オフに食事をしたり、と近況を気にかける。「今でも家族ぐるみの付き合いをさせてもらっている」と菊池。選手との距離が近いのはフロントも同様で、球団本部長の鈴木清明(62)は「成長過程をずっと近くで見ているから、選手は家族のようなもの。ざっくばらんに話をできる環境がウチにはある」。

12日から始まったDeNAとのクライマックスシリーズのファイナルステージ。一度はチームを離れた新井貴浩(39)を含め、外国人選手以外は先発全員"生え抜き"というチームは、満員の観客の声援を受けながらグラウンドで躍動した。親会社のない球団で強固な一体感が培われてきた。(敬称略)

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