2019年9月20日(金)

琴奨菊、万感の初V 迷い捨て31歳開花

2016/1/24 23:34
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迷いのなかった今場所の15日間を象徴する相撲だった。立ち合いで豪栄道をつかまえ、得意の一気の寄り。土俵際まで攻め込んでからの突き落としで転がした。夢のような初優勝に、琴奨菊は「信じられない」と喜びに浸った。

初優勝を決め、賜杯を受け取る琴奨菊(24日午後、両国国技館)=写真 小高顕

日本勢10年ぶりの優勝という手柄で喝采を浴びたが、感慨はことさら強調しなかった。「自分の初優勝が、たまたま10年ぶりだっただけ」。そう謙虚に語ったのは、日本勢のふがいない10年の一端に自身もいたという思いがあるからだろう。

角界屈指の厳しい指導で知られた先代佐渡ケ嶽親方(元横綱琴桜)のもと、身長2メートルを超す琴欧洲や相撲巧者の琴光喜ら手ごわい兄弟子と厳しい稽古を積み重ね、2011年秋場所後に大関の座をつかんだ。

が、以降は振るわなかった。左膝や右大胸筋などのケガで低迷し、大関在位26場所でカド番は5回を数えた。苦しい時期を経験してきた男が、32歳になる直前に見せた突然の開花だった。

それは先代の現役時代と重なる。大関カド番の常連だった先代も31~32歳だった1972年九州場所と翌年初場所で突然の連続優勝。「うば桜の狂い咲き」と称された。先代の娘で佐渡ケ嶽部屋おかみの鎌谷真千子さんは「父のあの優勝は私が生まれた直後で、ダメ大関のままでは娘がかわいそうだと思って奮起したと聞いた。琴奨菊も父と同じだと思う。結婚して変わった」。

琴奨菊も昨年の入籍後、妻に優勝を約束したという。守るべきものができると、やはり人は強くなるのか。有言実行の夫に、応援にかけつけた妻は「輝いている(大関の)姿をみてほれ直しました」と顔を赤らめた。

春場所は綱とりがかかる。師匠の佐渡ケ嶽親方(元関脇琴ノ若)は「横綱をつくることは先代と私の夢でもある」。ひと息つく間もなく、また挑戦が始まる。(田村城)

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