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海外出身選手10人、日本のために体張る

(ラグビーW杯開幕特集)

ラグビー日本代表のメンバー表にカタカナの名前が多いのはなぜ? 全員が帰化選手なのではない。条件を満たせば国籍がなくても代表になれる、ラグビー界特有のルールがあるからだ。選手にとっては自由度が高い一方、複雑な心境を感じることもあるようだ。

日本代表31人中、外国出身の選手は10人。帰化しているのはそのうち5人だ。他の選手は「3年間居住した国の代表選手になれる」という国際統括団体ワールドラグビーの規定を満たしている。

独自のルールには競技の歴史が影響したとの説がある。ラグビーは19世紀後半以降、発祥国の英国の人間が各国へもたらした。サッカーと比べて現地住民への普及が遅れたこともあり、代表チームに英国人が入れる規定を設けたという。

低いタックルは日本で身に付けたというリーチ主将

ただ、彼らに「助っ人」という表現はそぐわない。ある国の代表戦に1試合でも出場すると、原則的に他国のジャージーを着ることはできない。サモアにルーツを持つサウ、トンガ出身のマフィは祖国からの勧誘を断り、日本代表に骨をうずめる道を選んだ。

トンガでの中学生時代は吹奏楽部、埼玉工業大深谷高(現正智深谷高)でラグビーを始めたホラニを筆頭に「日本育ち」の選手もいる。リーチ主将も札幌山の手高、東海大で腕を磨き、今年は母国ニュージーランド(NZ)のチーフスに加入してスーパーラグビーに参戦。日本仕込みの低いタックルで、プレーオフに進んだチームのレギュラーになった。「日本が育ててくれたからスーパーラグビーでもすぐにレギュラーを取れた。日本に来たことに後悔は一切ない」

リーチは両国の懸け橋に、との思いも強い。7月、東京都府中市に「Cafe+(プラス)64」を開店。NZの国番号を冠した店では故国の料理を出し、自身も休日に皿洗いをする。いずれはNZに「+81」(日本の国番号)を出店し、日本文化を広めたいという。

日本の高校でラグビーを始め、日本代表にまで上り詰めたホラニ=共同

海外出身選手は、高い運動能力と体格を兼備する人材が少ない日本の弱点を補ってくれる。ジョーンズ・ヘッドコーチ(HC)は密集戦の中心となるFW第3列や、突進力が求められる第2センターに彼らを多用してきた。日本に限った話でもなく、今大会のフランスには海外出身の選手が約10人、優勝候補NZにも5人いる。

日本の10人は前回に並んで日本代表のW杯史上最多。本番の先発にも5人前後が名前を連ねそうだ。「外国出身者の数が多すぎる」という批判はある。確かに同じ日本代表のテレビ中継でも、身近にいる女性が奮闘しているように見える冬季五輪のカーリングとは映り方は違うかもしれない。

言語の壁も皆無ではない。日本語をほぼ完璧に操るリーチ、ホラニと違い、日常会話が十分でない選手もいる。ただ、日本選手の英語力も向上している。ピッチ上では苦労しないはず。

オーストラリア代表監督の経験もあるジョーンズHCは「豪州は移民国家なので(サモア、フィジー、トンガ出身の)アイランダーやイタリア系の選手を使っても何も言われない」と話す。NZやフランスも事情は似ている。しかし、日本では外国出身選手の多さに違和感を唱える声は少なくなく、それは桜のジャージーを選んだ彼らの耳にも入ってくる。

来日後の時間がトンガにいた期間を上回ったホラニですらW杯への意気込みをこう話す。「見た目はこうだけど、日本のラグビーに恩返ししたい」。33歳で臨む恐らく最後のW杯。外見ではなくチームのために全力で戦う姿、そこに込めた思いを見てほしいと願っている。

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