錦織「プレッシャーで気持ち的に重く」 全米テニス準優勝
【ニューヨーク=原真子】テニスの全米オープン最終日は8日、ビリー・ジーン・キング・ナショナル・テニスセンターで行われ、男子シングルス決勝で第10シードの錦織圭(日清食品)は第14シードのマリン・チリッチ(クロアチア)にストレート負けし、日本選手初の四大大会シングルス優勝はならなかった。四大大会初制覇のチリッチは賞金300万ドル(約3億1500万円)を獲得。準優勝の錦織の賞金は145万ドル(約1億5千万円)。

世界ランク8位の錦織は序盤から硬さが目立ち、198センチの長身から打ち下ろすチリッチの高速サーブに苦戦。ストロークでも押され、第2セット以降も追う展開となり、最後まで主導権を握れなかった。
錦織は今大会、右足親指の負傷から復帰したばかりだったが、準決勝では世界1位のノバク・ジョコビッチ(セルビア)を圧倒するなど好調だった。四大大会では日本勢初のシングルス決勝進出だったが、これまで5勝2敗と勝ち越していたチリッチに完敗した。
四大大会で初めての決勝進出だった。「興奮していろいろ考えて寝付けなかった。胸が苦しくなったし、こんなに硬くなるのは久しぶり」と錦織。開始2時間半前の練習から、緊張が見えた。
決勝が初めてなのは相手も同じ。サーブが得意なのに立ち上がりのチリッチは第1サーブが入らなかった。錦織もラケットの芯にボールが当たらず、伸びのあるストロークが返らない。試合が動いたのは第1セットの第6ゲーム。錦織のサービスゲームで0-40。そこからいいサーブが2本続き、30-40まで盛り返したが、最後はフォアのストロークがサイドラインを割り、最初のブレークを許した。
第2セットに入っても錦織のストロークに伸びが出てこない。世界ランク上位を連破した4回戦、準々決勝のように「試合に入り込めなかった」。第2セット、サービスブレークを許した直後の第4ゲーム。錦織は15-40のブレークチャンスを得ながら、サービスエースなどでしのがれた。
「ちょっとした差なんだけど」と嘆くが、それですべてが変わるのがテニスだ。落ち着きを取り戻したチリッチに対し、錦織はラリーになっても先にミスした。「人生最悪のプレーの一つが出た」
チリッチは今季2勝していた相手。「勝たないといけないってプレッシャーをかけて、気持ち的に重くなったかな。正直、フェデラーの方がやりやすかった」。7試合で計18時間以上を戦い抜いた2週間。ほろ苦さも残る準優勝だった。