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守備の達人メイウェザー、強打パッキャオを封じる

2015/5/3付
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【ラスベガス(米ネバダ州)=山口大介】「世紀の一戦」と世界中から注目を集めたボクシングの世界ウエルター級王座統一戦は2日、ラスベガスのMGMグランド・ガーデンアリーナで行われ、世界ボクシング協会(WBA)、世界ボクシング評議会(WBC)王者のフロイド・メイウェザー(米国、38)が世界ボクシング機構(WBO)王者のマニー・パッキャオ(フィリピン、36)に3-0の判定勝ちを収め、3団体統一に成功した。無敗レコードを守るとともに、長らく続いた「最強論争」にも終止符を打った。

■体格差生かし、序盤からメイウェザー優勢

最終回、残り10秒を告げる拍子木が鳴ると、勝利を確信したメイウェザーは早くも右手を挙げた。その姿に反応したかのように両手を挙げてアピールしたパッキャオだが、その姿はどこか遠慮気味。勝利の行方はアリーナを埋め尽くした1万6000人の大観衆にも明白だった。

「彼(パッキャオ)の時間もあったが、アウトサイドからうまく立ち回ることができた」とメイウェザー。大方の予想通り、リーチと体格差を生かすべく、左リードをついて距離を取った。左構えのパッキャオの右ジャブには右の鋭いカウンターを合わせる。最初の3ラウンドを優勢に進めてペースを握った。

4回からパッキャオも反撃する。メイウェザーのジャブに合わせて左ストレートのカウンターをヒットさせ、そのままラッシュ。何度もメイウェザーをロープにくぎ付けにした。6回にも同様の場面をつくり、場内の「マニー」コールにも押されて攻め続けた。

■パッキャオでも破れなかった防御網

だが、メイウェザーは落ち着いていた。「彼がタフな相手だということは分かっていた。じっくり攻めないといけないことも」。フットワークでリングを広く使い、パッキャオを懐に入らせない。くっつかれればクリンチでその強打を封じ、逆に意表を突くタイミングで右の強打をたたき込んだ。

ジャッジ3人の採点は118-110が1人、116-112が2人と大差がついた。「勝ったと思った。彼はそれほど何もしていない。動き回ってきたので難しかったのは確かだが」と話したパッキャオだが、その言葉は説得力には欠ける。メイウェザーが打ち合いを避けることは誰もが分かっていた。その防御網、距離感をパッキャオがどう突破するかが最大の見どころだったが、結局はパッキャオもメイウェザーを攻略することはできなかった。

この10年ほど、「世界最高のボクサー」の評価を二分してきた両雄。最初に実現に向けて交渉が持たれたのは2009年だったが、ドーピング検査方法を巡る対立で実現しなかった。その後はテレビ局やプロモーターの違いもあって、すれ違ったまま時間だけが過ぎた。

■成り上がりVSボクシングエリート

それでも対決が待望され続けたのは、どこまでも好対照な両雄同士だからでもある。フィリピン出身のパッキャオは貧しい農家から拳一つではい上がってきたたたき上げだ。最初はフライ級で世界王者になった軽量級の選手だったが、米国に渡ってから次々と階級を上げながら強豪を倒し続けてきた。鋭い踏み込みから攻めまくる戦い方もファンの熱烈な支持を受け、勝ち続けるたびに相手のファンも自身のファンに取り込んでいった。

一方、メイウェザーは父が元世界ランカー、おじが元2階級制覇王者というボクシング一家に生まれたエリート。1996年アトランタ五輪で銅メダルを獲得してプロに転向後、希代のディフェンスマスターとして途中1年9カ月の一時引退を挟みながら勝ち続けてきた。試合が「退屈だ」と批判されることもあるが、傲慢で挑発的なキャラクターが絶妙に絡み合い、ファンはメイウェザーを放っておけない。

善玉(パッキャオ)と悪玉(メイウェザー)の構図がくっきりと浮かんだわかりやすさも手伝って、2月の試合決定からファンの熱狂を呼んだ。最高1万ドルに設定されたチケットは早々に完売。米国でのテレビ課金視聴料(ペイ・パー・ビュー)も1万円超と高額ながら300万件の購買が見込まれている。海外放映権料や興行協賛を含めた総収入は480億円に達するとみられ、AP通信によると両者の報酬はメイウェザーが216億円、パッキャオも144億円に届く可能性があるという。

■声援は米国でもパッキャオが圧倒

この1週間、ラスベガスでの声援もパッキャオが圧倒していた。米国人でもパッキャオを応援していた人は多く、前日の計量に続いてこの日もメイウェザーには大きなブーイングが浴びせられ続けた。そんなアウェーの雰囲気もろともはね返したメイウェザーは、やはり評価されてしかるべきだろう。5階級制覇を達成している38歳は戦績を48戦全勝(26KO)とし、次戦については「9月に帰ってくる」と約束した。

一方、敗れたパッキャオは57勝(38KO)6敗2分けとなり、再び無冠になった。「まずはしばらく休みたい」とだけ答えたアジアの至宝。全17階級のうち、10階級にまたがって6階級制覇をなし遂げた活躍は、階級制スポーツの常識を根本から覆すものだった。今回はファンを驚かすことはできなかったが、その功績に傷がつくことはない。

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