2018年1月23日(火)

「最後の別れ」1000枚 北朝鮮への帰国事業、写真集に

2017/2/1 9:49
保存
共有
印刷
その他

 1959年に始まった在日朝鮮人らの北朝鮮への帰国事業に関わった新潟市の小島晴則さん(85)が、撮影した千枚以上を掲載した写真集「帰国者九万三千余名 最後の別れ」をこのほど出版した。新潟港で帰国船に乗った人々が不安げに岸壁を見下ろす姿も掲載。「拉致被害者以外にも日本に帰りたがっている人がいることを知ってほしい」と訴えている。

 新潟県帰国協力会の事務局員として、67年の第155次の船まで計8万人以上を見送った小島さんが趣味のカメラで撮りためた写真は約3万枚に上った。「北朝鮮が地上の楽園だと信じて送り出してしまった。84年の事業終了まで帰国者と一緒に渡った1800人以上の日本人妻のほとんどは、50年近く里帰りもできていない」。自責の念から、3年かけて今も手元に残る写真から選んだ。

 新潟港から帰国船が出るたび繰り返された歓送会や交流会では乗船を控えた人々の晴れ晴れとした顔、別れを悲しむ様子などを記録。日本各地から集まる在日朝鮮人を歓迎するパレードや「日朝友好」の垂れ幕も写っており、当時の高揚した雰囲気がうかがえる。

 小島さんが北朝鮮に違和感を抱き始めたのは64年の訪朝で現地の貧困と発言の不自由さを感じたのがきっかけ。帰国者から窮状を訴える手紙も届いた。「聞いていた話と違う。これは独裁国家だ」と考えるようになり、90年ごろから日本人妻の帰郷や拉致問題解決を目指す運動に転じた。

 写真集に前文を寄せた法政大の高柳俊男教授(在日朝鮮人史)は「地元の活動家が持続的に撮ったからこそ、帰国者らの喜怒哀楽や背景が見える。日朝間の陰に生きる人々に思いをはせたい」と話している。675ページ、3780円。問い合わせは高木書房((電)03・5855・1280)。〔共同〕

日経電子版が2月末まで無料!初割のお申し込みは1月31日まで!

保存
共有
印刷
その他

電子版トップ

関連キーワードで検索

小島晴則北朝鮮高柳俊男高木書房



[PR]

日本経済新聞社の関連サイト

日経IDの関連サイト

日本経済新聞 関連情報