科学研究 幅広い視点で

2015/12/31 22:05
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科学研究の基盤である周期表に日本の成果が刻まれることになった。応用とはかけ離れた実験をしぶとく続けた結果、ノーベル賞に匹敵する業績を挙げた。基礎科学への投資に先細りの懸念が漂う中、日本の科学界にとって力強い追い風だ。

新元素の発見は、米国や旧ソ連などが独占してきた。日本の原子核物理を切り開いた仁科芳雄博士を中心に理化学研究所で加速器を整備し、念願がやっとかなった。

理研の加速器は電気代だけで1日約50万円かかる。直接の経済効果を見込めないため研究は打ち切りの検討対象にあがり、113番元素の合成を確実にする3回目の合成に成功したのは実験をやめる2カ月前だった。

東北大学長を務めた小川正孝博士らが1908年に43番目の元素を報告し「ニッポニウム」と命名されたが、後に別の元素を勘違いしていたことが判明し取り消された。そんな経緯を踏まえ、日本の科学界に輝かしい一ページが加わった。

日本では実用化の見込めない研究の優先度は低い。113番元素の認定は幅広い視点で科学研究をとらえようとのメッセージにも受けとめられる。今後の政策に生かさなければならない。

(編集委員 永田好生)

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