2017年11月19日(日)

教委が校長処分検討 三省堂、不正認識し虚偽報告

2015/10/30付
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 教科書を発行する三省堂(東京)が小中学校の校長ら11人を集めた会議で検定中の教科書を見せ、謝礼を渡していた問題で、11人が所属する教育委員会は30日、不適切な行為だったとして、処分の検討などを始めた。同社が昨年11月に会議について文部科学省に報告した際、北口克彦社長の判断で、謝礼支払いの事実を伏せていたことも分かった。

記者会見する三省堂の福井昇取締役(左)ら幹部(30日、東京都千代田区)=共同

記者会見する三省堂の福井昇取締役(左)ら幹部(30日、東京都千代田区)=共同

 三省堂や文科省によると、昨年8月に見せたのは2016年度から中学校で使用される英語の教科書。当時11人のうち長野、兵庫、大阪、奈良、京都、福岡、大分の7人が中学校長で埼玉が中学教頭、岐阜が小学校長、山梨が小学教頭、青森が市教委指導主事だった。

 今回の採択時に埼玉、長野、岐阜、大分の4人は各県内の市町村で採択に関わる立場になり、京都の1人は府内の市町村に指導、助言をする審議会の委員となった。同社の教科書を推すような発言はなかったとされる。

 出席した11人の地元のうち、当時は5地区で三省堂の教科書が使われていた。16年度の採択では4地区で継続されたが、1地区では別の教科書が選ばれたという。

 各教委は「教科書採択に不信を生みかねない軽率な行為。厳正に対処する」(福岡市教委)などとして処分を決めるか、処分の検討を始めた。11人の一部は30日までに謝礼を返金。会議に出た岐阜市の市立小の校長(当時)は「謝礼は講師料のつもりだった。疑念を抱かせたことを後悔している」と話している。

 一方、文科省や三省堂によると、昨年8月の会議で検定中の教科書を閲覧させたことについて同年10月、外部から指摘があった。同省が同11月、報告を求めたところ、同社は会議の開催と教科書の閲覧は認めたが、謝礼に関しては説明しなかった。09年と10年に同様の会議を開いていたことも報告しなかった。

 北口社長は30日、取材に対し、採択に関わる学校関係者への金銭提供を禁じる教科書会社間の自主ルールを知っていたと認めた上で「文科省への報告では伏せていた。私の判断だ」と述べた。

 文科省は「不適切で不誠実な対応」として問題視。同社に対し、11月末までに事実関係を改めて報告するよう求めた。報告書の内容に重大な不備があったり、改善が見込めないと判断したりすれば、教科書発行者の指定取り消しを含めた措置を取るとした。

 教科書各社でつくる教科書協会は30日、三省堂の問題を受けて都内で臨時会議を開催。佐々木秀樹会長(日本文教出版社長)によると、出席者からは「業界全体をおとしめる行為だ」などと批判が相次いだという。同会長は「他社でも同様のことが行われないよう、自主ルールの徹底を図りたい」と語った。

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