汚染水への効果は未知数 福島第1「凍土壁」作業開始へ

2016/3/30 21:07
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政府と東京電力が福島第1原子力発電所から出る汚染水を減らすために計画している「凍土壁」の凍結が31日にも始まる。敷地の地下を氷の壁で囲むことで地下水の流入を防ぎ、新たに発生する汚染水を減らすのが目的だ。順調にいけば夏ごろには大幅に減る見通しだが、凍土壁が狙い通り機能するかは未知数だ。

原子力規制委員会は30日の定例会合で凍土壁の凍結を始めることを認めた。田中俊一委員長は「(地下水の動きの)データを確認しながら進めるのが重要だ」と話した。

第1原発の地下では大量の地下水が山側から海に向かって流れている。一部は原子炉建屋などに流れ込み、1日150~200トンの新たな汚染水が発生している。

東電は1~4号機周辺の地下に、長さ約30メートルの凍結管を1568本打ち込んだ。ここにセ氏零下30度の冷却液を流し、まず5月ごろまでに海側の管の周囲の土壌をアイスキャンディーのように凍結して氷の壁を築く。

地下水の動きなどを確認し、夏ごろまでに山側の95%を凍結。この段階で地下水の流入が半減し、汚染水の発生も大幅に減少するとみている。

東電は当初、山側から凍結する計画だったが、規制委が地下水の流入が一度に減ると建屋内にたまった高濃度の汚染水が流出しかねないと懸念。影響が比較的小さい海側から凍結を進めることにした。

凍土壁は14年6月から345億円の国費を投じて工事を進めてきた。トンネル工事の地下水対策などでは実績があるが、今回は凍らせる土の量が7万立方メートルと例のない規模。想定通りに機能するかどうかは不透明だ。

京都大の嘉門雅史名誉教授は「うまく凍らない場所も出てくるのではないか。設備の劣化なども考えれば、長期間、凍結を維持するのは至難の業だ」と話す。規制委の田中委員長は定例会合で「(凍土壁は)本質的な解決にはならない」と指摘した。完成すれば当面の汚染水対策は出そろうが、最終的には建屋内にたまった汚染水をすべて取り除く必要があり、そのための具体策はまだ見えていない。

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