非上場株、収益還元法で計算した株価の減価認めず 最高裁
非上場会社のM&A(合併・買収)の際、市場で株を売買できないことを理由に株価を低く見積もることが認められるかが争われた訴訟で、最高裁第1小法廷(池上政幸裁判長)は30日までに、将来の収益などを基に計算する「収益還元法」を使う場合には認められないとする決定をした。
株価をより高く計算すべきだと主張した株主側の主張を認め、1株80円とした一、二審の決定を破棄し、1株106円と算定した。
これまでは市場流動性がないことを理由に株の減価を認める場合と認めない場合があり、実務が割れていた。今後は非上場会社のM&Aで収益還元法が使われる際は、算定方法が統一されそうだ。決定は26日付。
同小法廷は決定理由で「収益還元法は将来期待される純利益などを基に現在の株価を算定する手法で、市場での取引価格との比較という要素はこの手法の中に含まれていない」と指摘。算定手法にない要素を反映させて株価をさらに減価するのは不当だとする初めての判断を出した。
食品卸のセイコーフレッシュフーズ(札幌市)が2012年に吸収合併した道東セイコーフレッシュフーズの株主が、所有する株式を買い取るように請求。合意に至らず、裁判所に公正な価格の決定を求めていた。
一審・札幌地裁は鑑定人の意見に基づき、流動性がないことを理由に25%減価した1株80円と算定。二審・札幌高裁も「非上場株の換価が困難なことは株価に影響しており、減価は相当」と判断を維持した。株主側が最高裁に不服を申し立てていた。
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