新幹線放火 乗客滞留し被害拡大 事件から1年、安全委報告書

2016/6/30 13:22
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昨年6月に東海道新幹線の先頭車両で男(当時71)が焼身自殺し、乗客ら29人が死傷した放火事件で、運輸安全委員会は30日、調査報告書を公表した。男がガソリンをまいた際、乗客が様子を見ようと立ち止まってデッキに滞留したことが被害拡大につながったと指摘。鉄道各社に車内での火災時に乗客へ迅速な避難を呼びかける啓発活動をするよう求めた。

鉄道の安全対策に大きな課題を投げかけた事件は30日で発生から丸1年。事件後、JR各社は車両内の防犯カメラ増設や常時録画などの取り組みを進めている。

事件は2015年6月30日午前11時半ごろ、新横浜―小田原間を走行していたのぞみ225号(16両編成、乗客約900人)の先頭、1号車で発生。乗客の男がガソリンをかぶって火をつけ、巻き込まれた乗客の女性(当時52)が死亡。乗客と乗員28人が煙を吸うなど重軽傷を負った。

報告書によると、車内の防犯カメラを解析した結果、男が1号車の前方でガソリンをまき始めた際、乗客は男から離れて避難をはじめた。だが複数の乗客が2号車との間にあるデッキに滞留し、1号車の様子をスマートフォンで撮影したり、様子を見たりする状況が映っていた。

男が火をつけて、車内に爆風と煙が押し寄せると乗客らは慌てて後方の車両に避難を再開。2号車まで煙が充満し、乗客らは煙を吸うことになった。死亡した女性は1号車後部のデッキに倒れていた。

車掌は当時4号車におり、乗客から男がガソリンをまいていることを知らされたが、「出火まで1分ほどしかなく避難誘導する時間はなかった」とした。運転士は非常ブザーが鳴ったため1度ブレーキをかけたが、爆発音から火災と判断。再加速してトンネルを抜けた時点で停止しており、報告書はこの対応を「適切だった」と評価した。

報告書ではJR東海など鉄道各社に対して、車内で火災やその兆候を察知した際、大きい荷物を持ったり逆行したりせず速やかに離れた車両に避難するよう乗客へ啓発することを求めた。

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