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路上生活者の姿知ろう 東京・墨田、全区立小中で「特別授業」

若者が路上生活者(ホームレス)を襲う事件をなくそうと、東京都墨田区は全ての区立小中学校で、路上生活者について学ぶ取り組みを6月に始めた。野宿生活を送る人を「ゲスト教師」として招いた学校もある。

東京スカイツリーからほど近い墨田区立曳舟小学校。夏休み直前の7月10日、6年生約60人が待つ教室に都内で野宿生活を続ける男性2人がやって来た。ひとりは74歳の「加藤さん」、もうひとりは「小山さん」と呼ばれる66歳の男性だ。

路上生活者らを支援する民間団体「山谷労働者福祉会館活動委員会」の向井宏一郎さん(42)が2人に質問する形で授業が始まった。

加藤さんはもともと漁師だったが、ビル建設の仕事に転じ鉄骨を組み立て続けてきた。小山さんは土木作業のベテラン。2人とも仕事が見つからなくなり、住居費を払えなくなった。今は空き缶回収が主な仕事で、収入は一日歩き回って千円前後だという。

教室がざわめいたのは小山さんが住む小屋の中の写真を見せたときだ。「すげえ」「猫がいる」。近くに猫を捨てる人が後を絶たず、見捨てられないという小山さんは8匹の猫を飼っている。餌代は空き缶回収の稼ぎの「半分だね」。

向井さんが静かに語りかけた。「こういう人たちへの暴力が起きてしまっている。石を投げられたらどんなに恐ろしいか想像してみて。この人たちは、不安で寝られなくなるんだよ」

路上生活者への襲撃事件は各地で発生し、加害者が墨田区の中学生と判明したケースも一昨年、昨年と続いた。路上生活者らが墨田区教育委員会などに要請を重ね、襲撃が起きやすい夏休み前にこうした取り組みが実現した。小学5、6年生と中学の全学年が対象だが、これまでに路上生活者本人を招いたのは曳舟小だけ。ほかはビデオなどを使って路上生活者の姿を教えている。

墨田区教委指導室の岡本賢二・統括指導主事は「これまでは近づくな、かかわるなと『遠ざける』指導をしてきたが、襲撃事件が起きた。路上生活をしている人たちを正しく理解することが大切だと考え、方向転換した」と説明する。ただ効果が生まれるかどうか、「検証はこれから」(岡本さん)という。〔共同〕

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