エボラ熱、水際で防げ 空港など対策強化

2014/8/30付
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西アフリカで流行が続くエボラ出血熱の国内感染を防ごうと、空港などでの水際対策が強化されている。検疫所でのポスター掲示や航空機の機内放送などで旅行者に繰り返し注意を呼びかけている。企業や大学も対策を取り始めたが、現時点では国内で感染者が出る可能性は低く、医療関係者らは「必要以上に恐れる必要はない」と冷静な対応を求めている。

「ギニア、リベリア、シエラレオネ、ナイジェリアに滞在された方は検疫官にお知らせください」。夏休みの旅行客でにぎわう成田空港。国際線で到着した全員が通る検疫所では8月11日以降、エボラ出血熱で死者が出ている西アフリカ4カ国への渡航者に注意を呼びかける放送が日本語と英語で繰り返し流されている。

世界保健機関(WHO)がエボラ出血熱の緊急事態宣言を出し、厚生労働省が全国の検疫所に対応強化を指示した。成田空港検疫所は、体調不良の人に「健康相談室」への立ち寄りを求める従来の放送を、エボラ出血熱に特化した内容に変更。流行国を訪れた人がいれば検疫所で申し出るよう、航空各社に機内放送も要請している。

同検疫所では、ポスターやテレビモニターで注意喚起する一方、体表温度が一定以上になると赤く表示されるサーモグラフィーで検疫官が入国者の状況を確認し、必要に応じて医師が診察する。出国者向けにも免税店街の一角にある「海外感染症情報コーナー」でエボラ出血熱に関する情報提供を行う。

西アフリカ諸国に住む日本人は多くないが、関係機関は対策に乗り出している。国際協力機構(JICA)は、ナイジェリアを除く3カ国に発電施設や農業などの技術指導で滞在していた24人の国外退避を決めた。既に全員が出国しており、感染が疑われるような症状は出ていないという。

約80カ国・地域から学生が集まる立命館アジア太平洋大(大分県別府市)は8月以降、西アフリカ出身の留学生に対し個別にメールを送って所在を確認したほか、全学生にメールで西アフリカに渡航する場合は慎重に判断するよう求めた。外務省は3カ国への渡航自粛を呼びかけており、現地法人を持つ企業などは状況が改善するまで渡航を自粛する方針だ。

エボラ出血熱について、ナビタスクリニック立川(東京都立川市)の久住英二医師(旅行医学)は「空気感染せず、感染力は強くない。空港などで現状の水際対策がきちんと機能すれば、国内で感染者が出る可能性はほとんどない」と指摘。死者が出ている国以外のアフリカ諸国から帰国した従業員にも医療機関での受診を求める企業があるといい、「過度な対応で誤った認識が広まれば、もし症状が出た場合に声が上げにくくなる。正しい理解と冷静な対応が必要だ」と話している。

▼エボラ出血熱 エボラウイルスが原因の急性感染症。感染した人の血液や分泌物、体液などに濃厚に接触することで感染する。空気感染はしない。感染すると通常は1週間ほどで発熱や下痢、頭痛などの症状が出て、悪化すると全身出血や多臓器不全に至る。現時点で有効な治療薬やワクチンはなく、致死率は最大90%とされる。世界保健機関(WHO)によると、西アフリカのギニア、シエラレオネ、リベリアの3カ国を中心にこれまでに1500人以上が死亡している。

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